Project/Area Number |
22KJ2421
|
Project/Area Number (Other) |
22J10876 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 千恵 九州大学, 芸術工学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 災害伝承 / 記憶継承 / 担い手育成 / 語り / 東日本大震災 / アートプロジェクト / 構築主義的アプローチ / 共感 / 語り継ぎ / アート / 市民ミュージカル / 語り部 / 質的分析 / 協働想起 / 共創 |
Outline of Research at the Start |
地域社会における持続的な災害伝承の実現を目指し、アートを通した災害伝承のメカニズムと効果を明らかにし、新たな災害伝承教材・カリキュラムを開発する。東日本大震災の被災地では災害を経験しない子どもへの記憶の継承が課題である。アートはその手段の1つだが、他の手段とどのような違いがあるのか明確ではない。そこで宮城県の劇場や美術館で行われる災害の記録や記憶の継承を志向する表現活動の参与観察や映像記録等の分析、参加者へのインタビュー分析などを実施する。それらを通してアートによる災害伝承のメカニズム、媒体による伝承効果の違い、伝承効果を発揮する条件を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「災害伝承におけるアートおよびアーティストの役割への理解を深め、災害伝承の担い手育成に向けた示唆を与えること」を目的に、東日本大震災後に映像作家の小森はるかとアーティストの瀬尾夏美が実施した2つのアートプロジェクト《波のした、土のうえ》(2014)、《二重のまち/交代地のうたを編む》(2019)を分析し、①聞き手にとって共感しやすい語りの形式の特徴、②共感しやすい語りを生み出すためのアーティストの工夫、③震災の非体験者が「記憶継承の担い手」になり得る道筋を明らかにした。これらの結果から、災害伝承におけるアートの役割とは、被災の語りの本質を結晶化させ、聞き手を揺さぶるような「強度のある表現」を実現することであり、災害伝承におけるアーティストは、どうしても誰かに伝えなければならないという「表現への真摯さ」をもってその実現可能性を高めていると結論付けた。災害伝承の担い手育成においてアートは、被災の追体験の機会を提供し、知識やスキルの学習効果を高める可能性があることを示唆した。 本研究の意義は、美術科教育でこれまで手付かずだった災害を事例に「社会における美術の役割」を示した点にある。本研究では絵画や彫刻などの既存の美術ジャンルではなく、アートプロジェクトを対象とするために、美術科教育では新しい「コト的アプローチ(構築主義的アプローチ)」を用い、アートの役割を実証的に示すことができた。本研究をモデルに美術科教育の研究対象は広がるだろう。さらに本研究で得られた示唆は、防災教育プログラムの開発を促進する可能性がある。
|