Project/Area Number |
22KJ2584
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Project/Area Number (Other) |
22J23839 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小林 琢磨 (2023) 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(DC1)
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Research Fellow |
小林 琢磨 (2022) 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 腸内細菌代謝物 / ポリフェノール |
Outline of Research at the Start |
糖尿病マウスへの高脂肪食投与によって108倍に増加する腸内細菌代謝物としてフェノールが同定された。更にフェノールはマウスマクロファージの炎症性サイトカインの発現を誘導することが明らかとなった。本研究は腸内細菌代謝物であるフェノールの生体内レベルの上昇が、生活習慣病の基盤である持続的な低レベルの慢性炎症を引き起こす要因の一つである根拠の提示および高脂肪食投与によって腸管内でのフェノール産生量が増加するメカニズムの解明を目的に行う。また、腸管内でのフェノール産生を抑制する食品成分の探索及び評価を行い、将来的にはヒトの健康長寿を支える豊かな食生活の評価や栄養指導・食育活動の推進への貢献を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー過多な食生活は重要な生活習慣病の要因である。近年、生体のエネルギー代謝に対して腸内細菌代謝物が非常に強い作用を示すことが明らかになりつつある。申請者が所属する研究室の先行研究において、糖尿病マウスへの高脂肪食投与で108倍増加する腸内細菌代謝物としてフェノールが同定された。更にフェノールはマウスマクロファージの炎症性サイトカインの発現を誘導することが明らかとなった。本研究の目的は、①フェノールの生体内レベルの上昇が生活習慣病の基盤である持続的な低レベルの慢性炎症を引き起こす要因の一つである根拠の提示、および②高脂肪食投与によって腸管内でのフェノール産生量が増加するメカニズムを解明し、フェノールの過剰生産を抑制する機能性を有する食品因子の探索およびその作用機序を明らかにすることで腸管内におけるフェノールを過剰に産生させない食事内容の根拠を創出することである。昨年度はフェノール産生酵素を阻害する食品成分をポリフェノール類の中から同定し、その阻害様式を検討した。そこで本年度は詳細な阻害機序の解明とin vitroおよびin vivoでのフェノール産生阻害を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、詳細な阻害作用機序解明のために、フェノール産生酵素 (TPL) と阻害剤の共結晶を調製してX線結晶構造解析に供した。その結果、TPLの基質結合ポケットにあるアミノ酸残基と阻害剤が水素結合やイオン結合を形成していることが示され、昨年度に明らかにしたTPL阻害様式をサポートする結果が得られた。また、TPLと阻害剤の構造活性相関で示した活性阻害に重要な構造が基質結合ポケットと水素結合やイオン結合を形成していることを明らかにした。次にin vitro試験としてTPL発現菌を基質であるL-Tyrと阻害剤を含むM9培地で培養し、培地中フェノール濃度を定量したところ、阻害剤の添加で培地中フェノール濃度は減少した。培養後の菌TPL発現量を評価したが、TPL発現量は減少していなかったため、培地中フェノール濃度の減少は阻害剤によるTPL阻害に起因することを明らかにした。さらにin vivo試験として、5%L-Tyrを含む高チロシン食を摂取させ糞便中フェノール濃度を増加させたC57BL/6Jマウスに、0.2%の阻害剤を含む高チロシン食を摂取させた。その結果、糞便中フェノール濃度を有意に減少させた。これらの結果から、フェノール産生酵素TPL阻害剤の経口摂取により腸管内でのフェノール産生を阻害できることが明らかとなった。 TPL阻害の詳細な作用機序解明は計画にない内容であったが、本研究結果を強くサポートするために必要不可欠なデータである。このデータを取得できたため、当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
フェノールおよびその硫酸抱合体であるフェニル硫酸は腎機能の低下によって血中に蓄積することでさらなる腎機能低下を誘導することが知られている。そこで腎機能低下モデルマウスに申請者が見出した阻害剤を経口摂取させた際にフェノール産生阻害を介して腎機能低下を抑制できるかを検討する。
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