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日本近世文学・文化史における浮世草子の商品性について―西鶴本の重版・異版を中心に

Research Project

Project/Area Number 22KJ2595
Project/Area Number (Other) 22J20160 (2022)
Research Category

Grant-in-Aid for JSPS Fellows

Allocation TypeMulti-year Fund (2023)
Single-year Grants (2022)
Section国内
Review Section Basic Section 02010:Japanese literature-related
Research InstitutionKyoto Prefectural University

Principal Investigator

前田 知穂  京都府立大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2023-03-08 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Keywords井原西鶴 / 浮世草子 / 重版 / 異版 / 好色一代男 / 日本永代蔵 / 如意輪観音 / 西沢太兵衛 / 菱川師宣
Outline of Research at the Start

井原西鶴の著作は「浮世草子」の嚆矢として、文学史の起点となっただけでなく、様々な出版文化の創出に寄与している。本研究の目的は、西鶴の著作が出版文化史へもたらした影響について、その様相を明らかにすることである。
その目的を達成するために、西鶴の著作のなかでも「重版」「異版」とよばれる版本を研究対象とする。これらは西鶴の許可を得ずに出版した、いわゆる海賊版であるが、そこには重版や異版ならではの様々な出版戦略がみられる。これらの版本に詳細な検討を加えることで、従来の研究とは異なる視点から西鶴の著作が持つ出版文化史的意義を発見することを目指す。

Outline of Annual Research Achievements

前年度に引き続き、「翻刻・書肆的調査などの基盤研究」や「初版との比較研究」を進めるとともに、『好色一代男』絵本版のテクストの成立過程を調査した。また、前年度の調査によって、絵本版には大坂版・江戸版から特徴的な改変を行った箇所があると判明したことを受けて、それが特に顕著にみられた巻二の二(以下、本章)の大坂版のテクストについて考察を行った。
○江戸版・絵本版 両版本の校合を行った。前年度は大坂版―江戸版、大坂版・江戸版―絵本版を対照して、江戸版・絵本版の特徴や性質を明らかにしたが、本年度は大坂版―江戸版―絵本版を対照・比較し、テクストの表記の変遷を調査することで、絵本版のテクストの成立過程について考察した。
調査の結果、絵本版のテクストは基本的に江戸版を基にして書かれているものの、大坂版を適宜参考にしていると推測される。これは絵本版の成立状況を考えるうえで非常に重要な発見といえる。
○異版 前年度に引き続き、翻刻・三都版との対照を進めている。本年度は「『日本永代蔵』異版(西沢版系統) 巻四(東長)・巻五(近長)―翻刻―」を発表した。
○大坂版 本章は、主人公・世之介が息子である世伝を「捨て子」するという話である。調査によって、本章には「如意輪観音」に関係の深い仏閣や人物が登場すること、同時代の古浄瑠璃『他力本願記』『六角堂救世菩薩』では如意輪観音が「捨て子」の守り本尊として描かれていることが明らかになった。
以上のことから、本章では如意輪観音の存在が暗に示されており、このような趣向は上記の二作品や、それらが典拠としている伝承に基づいていると推察される。さらに、先述の趣向が施されたのは、死亡リスクの高い「捨て子」である世伝が救われることなどを示唆したかったからではないかと考えられる。これにより、『好色一代男』執筆当時に、西鶴が『諸艶大鑑』の構想も得ていた可能性を提示することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、前年度から行っている「翻刻・書肆的調査などの基盤研究」や「初版との比較研究」をさらに推し進めており、当初の計画通り、異版の巻四(東長)・巻五(近長)の調査結果を公表することができた。また、比較研究においては、版本間の共通点・相違点を種類ごとに分け、出現回数を数値化することにより、どのような性質の異同が多く見られるかなど、調査結果を分かりやすく可視化した。これにより、版本間の比較検討が以前より容易に行えるようになり、『好色一代男』絵本版のテクストの成立過程に関する調査の進展につながった。本データを今後の比較研究においても活かすことで、調査内容を充実させたいと考えている。
また、研究計画にはなかったが、前年度の調査結果などから、初版である大坂版のテクストについて研究を行う必要性を感じ、調査を行った。その結果、『諸艶大鑑』の成立について新たな仮説を提示することができた。これについては、2023年度京都府立大学国中文学会で口頭発表を行い、研究成果を公表している。
以上のことから、一部、研究計画から変更はあるものの、おおむね順調に研究を進められていると考える。

Strategy for Future Research Activity

来年度も引き続き、「翻刻・書肆的調査などの基盤研究」や「初版との比較研究」を推し進め、西鶴本の重版・異版の内容について、その全貌を明らかにしたいと考えている。異版については、来年度中に、最終巻となる巻六(京長)の調査結果を発表する予定である。これによって、当該版本を全巻通して現在通行の字体で読むことができるほか、初版である三都版との異同も明らかとなるため、西鶴本の異版に対する研究の進展が見込まれる。また、重版である江戸版・絵本版に関しても、何らかの形でその翻刻を公表したいと考えている。
同時に、大坂版の典拠に関する研究については既に学術誌への投稿の準備を進めており、来年度中の公表を予定している。これ以外にも、絵本版の改変・省略についてなど、未発表の調査内容については、資料調査などを行い、内容の充実を図ったうえで、本研究期間中の公表を目指している。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Annual Research Report
  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 『日本永代蔵』異版(西沢版系統) 巻四(東長)・巻五(近長)―翻刻―2023

    • Author(s)
      前田知穂
    • Journal Title

      京都府立大学学術報告 人文

      Volume: 75号 Pages: 97-158

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Open Access
  • [Journal Article] 『日本永代蔵』異版(西沢版系統) 巻二(大長)・巻三(西長)―翻刻―2022

    • Author(s)
      前田知穂
    • Journal Title

      京都府立大学学術報告 人文

      Volume: 74 Pages: 127-185

    • Related Report
      2022 Annual Research Report
    • Open Access
  • [Presentation] 『好色一代男』巻二の二における「如意輪観音」の影響について2023

    • Author(s)
      前田知穂
    • Organizer
      2023年度京都府立大学国中文学会
    • Related Report
      2023 Research-status Report

URL: 

Published: 2022-04-28   Modified: 2024-12-25  

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