Project/Area Number |
22KJ2636
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Project/Area Number (Other) |
22J00032 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
堀内 香里 東北学院大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | モンゴル史 / 近世内陸アジア史 / ジェンダー史 / 家族史 / 清代 / ボクト政権 / 養子 |
Outline of Research at the Start |
本研究は近世モンゴルの「家族」を考察しつつ、当時のジェンダー規範を検討するものである。 まずは当該社会における「家族」のあり方やその機能を考察する。近世モンゴルの特徴は、近代以降とは異なり法的身分制度があり、貴族と属民の主従関係が親族関係と同じように社会関係の軸となっていたことであり、またそれ以前とは違い現地一次史料が膨大に現存する。こうした身分と血縁を主軸とする社会関係における「家族」の理解を深めたうえで、そこで求められていたジェンダー規範について検討する。また、遊牧社会における家族史やジェンダー史の研究は世界的にも多くなく、他地域との比較を通して各社会の特質を相対化させることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、近世内陸アジア遊牧民社会における「家族」の特質を考察しつつ、ジェンダー規範を検討するものである。具体的には、同時代のモンゴル遊牧民社会を事例に、彼らの日常的な実践に注目し、彼らが直面した諸問題を如何に調整し解決していたのかを分析することを通して、ジェンダーと身分に基づいて各人に求められた規範、また家族の機能や特質を考察する。 当該年度は養子縁組、介護・看病、相続の事例を分析した。そこから示唆されたのは、近世モンゴル遊牧民社会は、同時代の江戸や漢(中国)と比すると「家」の繋がりは弱く、一方で個人的なそれはより強かったことである。例えば、介護・看病や養子縁組では血縁の近さよりも世話したり扶養したりする能力の高さで関係が作られ、それが公式にも認められた。相続においてさえ、血縁関係の遠近によらず個人的な「恩」のある者に財産が移管される事例が多々見えた。このように状況に応じて適宜人間関係を構築して日常を過ごしていた。また、平民においては殆ど家族関係が見えず、基本的に貴族との主従関係を軸にして社会関係が規定されていた。なお、男女の性差でいえば、寡婦や未婚の母らの意向が他の男性のそれよりも現場でもまた法例上でも重んじられる事例が少なくなく、特定の領域における女性の発言権の大きさが示唆された。 また、研究活動については、内陸アジア研究の世界的中心の一つでもあるケンブリッジ大学社会人類学部に半年間所属し、当該地域の国家及び社会構造の変遷、そこにおける「親族集団」に関するこれまでの人類学的研究を調査した。これにより、当該社会の家族について、近世という時代の特徴を相対化しつつ、時代的変容を考察することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の後半を英国において、社会人類学という異なる分野の研究方法や内陸アジアを対象とする当該分野の研究蓄積について調査することにあてた。そのために自身の研究成果の公表を十分に行なうことができなかった。とはいえ、研究活動は進めてきたので、次年度はこれまでの研究の成果を国内外に公表する予定である。 また、当初はロンドン大学東洋アフリカ研究学院でも史料調査を行なう予定であったが、円安と英国の物価高によって実現できなかった。すなわち、これまでのモンゴル公文書に依拠した研究に、国外の宣教師らによって作成された文書の分析を取り入れることで、近世モンゴル遊牧民の生活を多面的に理解することを目指したが、それが達成できなかった。次年度のできるだけ早い段階で、この調査を行なう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度になるため、まずはこれまでの研究成果を論攷にして公表する。後半では、近世内陸アジア遊牧民社会における「家族」の特質とジェンダー秩序について、これまでに明らかになった範囲で結論を提示し、同時に問題を提起する。 また、当該年度に実現できなかった、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院での調査を次年度の早い段階で行い、公文書しかソースのなかった本研究に、当時モンゴル人の生活を理解しようとした宣教師らが作成した史料を使用することで、より多面的に当時のモンゴル遊牧民らの生活を考察することを目指す。
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