Project/Area Number |
22KJ2688
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Project/Area Number (Other) |
22J11643 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久中 綾子 慶應義塾大学, 文学研究科(三田), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 法学院文化 / 出版文化 / 印刷業者 / 王位継承 / コモンプレイスブック / リチャード・トテル |
Outline of Research at the Start |
トテルの出版活動における法学者や法学院生への影響を探るために、彼が出版したサリー伯による翻訳『アエネーイス第4巻』の写しを含むコモンプレイスブック(Hargrave MS 205)に焦点を当て、分析する。さらに、複数の法学院サークルの政治的傾向を、法学書や文学作品から洗い出し、こうした傾向がトテルの出版活動にどのように影響していたのかを明らかにする。最終的に、トテルの出版活動を通じて、トテルと法学院サークルがどれくらい影響を与え合っていたのか、そしてトテルがいかにイギリスの出版文化史や文学史に貢献したのかを結論づける。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、16世紀イングランドの印刷業者リチャード・トテルを、法学院をめぐるトテルの人脈的繋がりの観点から捉え直すものである。研究の2年目となる2023年度もインナーテンプルサークルに焦点を当て、文学作品の精読とイギリスでの史料調査を行った。 まず、5名のインナーテンプルのメンバーによる悲劇『サレルノのギスモンド』(1566?)の手稿と、編集後に出版された『タンクレッドとギスモンドの悲劇』(1591)とのテクストを比較分析した。当時流行していた女王賛美の描写が印刷本で加筆された一方で、女性蔑視の描写もさらに付け足されていた。女性蔑視は、法学院文化の特徴の一つでもあり、印刷本にそれが受け継がれていたことが窺えた。 そして、9月から採用期間終了までイギリスへ渡り、受け入れ指導者のKing’s College London のDr Daniel Starza Smith に指導を仰いだ。なかでも、『サレルノのギスモンド』の写しを含むコモンプレイスブック(大英図書館)の調査を行った。本書に含まれるインデックスの単語帳の写し作業に取り組み、本書の持ち主がどのような単語を選出し、どのような構成で単語帳を作成したのか、またどのような書物に影響されていたのかを調査した。さらに、リンカーン法曹院に関連する別のコモンプレイスブック(ボドレアン図書館)にも単語帳が含まれており、単語帳の作成を法学院生の傾向の一つとして捉えることができた。これらのコモンプレイスブックの調査を通じて、自身の研究をトテルと法学院生の繋がりの観点に加えて、法学院文化における印刷本の影響にまで拡げることができた。3月にはドイツ、チュービンゲン大学で開催された初期印刷本に関するスプリングスクールに参加し、採用期間中の研究成果の一部となる「『トテルズミセラニー』におけるトマス・ノートンの貢献」について口頭発表を行った。
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