17世紀後期イエズス会日本管区の存続戦略:プロクラドールの越境的活動を手懸りに
Project/Area Number |
22KJ2756
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Project/Area Number (Other) |
22J01263 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | The Toyo Bunko (2023) Showa Women's University (2022) |
Principal Investigator |
阿久根 晋 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | イエズス会日本管区 / イエズス会中国準管区 / プロクラドール / マカオ・コレジオ / 極東カトリック宣教史 / バチカン・日本交流史 / 東洋文庫ミュージアム / イエズス会 / 布教聖省 / パリ外国宣教会 / ポルトガル / マカオ / キリシタン史 / 海域アジア史 / 東南アジア史 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、東南アジア布教地の維持と日本布教の再開に向けたイエズス会日本管区の展望や方針を検討することで、17世紀後半期における同管区の存続戦略を解き明かすことにある。その際、アジア現地社会の布教からヨーロッパ各地での交渉・宣伝等に至る広範な活動を経験した管区代表司祭(プロクラドール)の事績に注目し、日本管区の事業継続における彼らの貢献の実態を見出すことで、研究目的の達成に繋げる。これをもって、管轄布教地ローカルの状況とグローバルな組織・通信網の双方を視野に含めたキリスト教交流史の一つの描き方を示すことが、本研究の最終的な目標である。
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Outline of Annual Research Achievements |
【研究課題に関する史料の分析】昨年入手済みの天理図書館所蔵の欧文史料(影印本)、ローマ・イエズス会文書館およびアジュダ図書館所蔵の未刊行文書を分析し、17世紀後期の東南アジア・中国におけるパリ外国宣教会とドミニコ会の進出状況、ローマ教皇庁令の発布に伴うイエズス会ベトナム布教の制限に関する新知見を得た。続いて、イエズス会日本管区の編年史料をトーレ・ド・トンボ文書館から取り寄せ、リスボン科学アカデミア図書館所蔵本と比較検討した結果、両所蔵本間の内容面の異同が明らかになり、その背景に対する仮説(マカオ・コレジオの所管や極東布教の成果をめぐる日本管区・中国準管区間の競争関係)も得られた。
【論文の発表】日本禁教後の存続営為としてのイエズス会東南アジア宣教、日本管区代表プロクラドールの越境的事績とその東西交流史上の意義に関する計3本の論文を執筆し、それぞれ大橋幸泰(編)『近世日本のキリシタンと異文化交流』(勉誠社、2023年)、川村信三・清水有子(編)『キリシタン1622』(教文館、2024年)、角川文化振興財団(編)『バチカンに眠る日本の記憶』(角川文化振興財団、2024年)を通じて発表した。
【博物館企画展への協力】この取り組みは東洋文庫の史料調査と並行して実施したもので、研究成果の社会的還元の一環でもある。東洋文庫ミュージアム企画展「キリスト教交流史─宣教師のみた日本、アジア─」(2024年1月27日─5月12日)の準備に際しては、文庫長特別補佐・普及展示部学芸員との意見交換を重ねながら、コレクションの多様性を活かした諸言語史料・図像・地図の選定、長期的な時間軸と広域的な空間軸を意識した展示構成の検討をおこない、図録とパネル解説の作成にも協力した。論文執筆や学会報告とは異なる研究成果発信上のノウハウを実践的に学習できたことも、本年度の取り組みの重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた海外諸機関での現地調査は実施できなかったが、その代替措置として各種オンライン・サービス(ポルトガルのCRAV[Consulta Real em Ambiente Virtual]など)を利活用することで、未刊行史料群のデジタル画像の入手と分析作業を進めることができたため。 研究成果の公開・発信面では、キリシタン史とバチカン・日本交流史分野の論集に論文を発表したほか、史料選定や図録執筆などを通じて博物館企画展の準備にも協力できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は海外史料調査(布教聖省文書館、ローマ・イエズス会文書館、パリ外国宣教会文書館、ジョージタウン大学など)に重点を置き、ベトナム人キリスト教徒を巻き込んだイエズス会・ドミニコ会・パリ外国宣教会間の摩擦、これに対するローマ教皇庁とポルトガル王室側の見解や対応、同時期のイエズス会日本再布教運動の展開に関する学界未紹介文書のさらなる収集・活用に努める。 さらに、これまでの史料分析から得られた諸知見を整理・再編し、その成果を学会発表と論文を通じて公開することも課題としたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)