Project/Area Number |
22KJ2828
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Project/Area Number (Other) |
22J00179 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岩井 優祈 日本大学, 文理学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 地理情報システム / GIS / 新型コロナウイルス感染症 / スケッチマップ / 手書き地図 / 空間認知 / 質的GIS / 新型コロナウイルス / COVID-19 / 生活の質 / QoL / 量的研究 / 質的研究 |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウイルスの流行によって,日常生活における様々な活動がオンライン上で行われるようになり,人々の時間や空間に対する制約は大きく変化した.それらを踏まえて本研究では,新型コロナウイルスの流行によって人々の生活の質がいかに変化したのかを明らかにすることを目的としている.本研究の特徴は,日常生活における活動の場所・活動頻度の変化が,生活の質に対する価値観の変化といかに関わるのかについて検討している点である.本研究ではこの関係性を捉えるために,質的GIS(地理情報システム)の援用を試みている.
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,生活環境に対する個人の価値観を主観的に評価する研究が進展した.まず,生活環境に対する主観的価値観を評価するためのフレームワークを検討した.具体的には,個人の空間認知に関する質的データをGIS(地理情報システム)に蓄積し,その地理的特徴を分析するための混合研究アプローチを考案した.次に,新型コロナウイルス感染症の流行下における個人の空間的行動と恐怖感情の関係を検討した.約100人の参加者を対象に,彼ら/彼女らが日常生活で感じた新型コロナウイルス感染症に対する恐怖体験を記録するためのスケッチマップ(手書き地図)調査を行った.本調査では,①衛星画像や道路地図などのベースマップを用いることで,手書き地図の正確なジオリファレンスを可能にする手法を採用した.また,②自由記述式のアンケート調査を同時に行うことで,新型コロナウイルス感染症への不安に関するエピソードを収集した.この二つの異なるデータをGISのリレーショナルデータベースで結合し,ジオヴィジュアリゼーションによる探索的な視覚分析を実施した. 本研究の最も重要な発見は,参加者によって新型コロナウイルス感染症に対する恐怖が感じられた場所の分布には一定の空間パターンが認められただけでなく,複数の感情が混在する空間も確認されたことである.このような空間が形成された過程には,新型コロナウイルス感染対策に対する参加者の個人的な価値観や空間の物質的特徴が複雑に関係していた.特に注目すべきは,マスク着用の有無に代表される人的要因である.物質的要因に関しては,道路の幅や飲食店の分布密度が感染リスク認知に強く影響していた.感染症対策の効果や実施を含む政策的要因もまた,恐怖空間の形成に深く関わることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集とその分析に加えて,研究成果の発表も行ったため,順調に研究が進んでいると判断した.具体的には以下の通りである. (1)データ収集と分析:約100人を対象としたスケッチマップ調査・アンケート調査の実施を実施した.また,それらの質的データをGISに取り込み,ローカル空間的自己相関分析を行った. (2)成果発表:個人の空間認知に関する質的データをGISに蓄積し,その地理的特徴を分析するための混合研究アプローチを考案した.その成果の一部は,「Annals of the American Association of Geographers」に掲載された.また,生活環境の量的変化に関する研究成果の一部が「Cities」に掲載された.
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Strategy for Future Research Activity |
綿密な調査・分析によって,生活環境の質的側面の変化を解き明かすことに成功したため,次は生活環境の量的変化と質的変化の相互作用について調査を進めることが可能になった.来年度は,生活環境の量的・質的変化の相互作用を分析する混合研究アプローチの開発に取り組む.この革新的なアプローチは,GISの枠組みの中で量的データと質的データの両方を統合するものである.このフレームワークにより,生活環境の変化を「何を」「どのように」捉えるだけでなく,質的な視点を取り入れることで「なぜ」を掘り下げる空間分析が可能になる.
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