Project/Area Number |
22KJ2839
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Project/Area Number (Other) |
22J01317 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
岩谷 泰之 法政大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 近代文学 / 近代仏教 / 仏教文学 / 宗教文学 / 仏教小説 / 宗教小説 / 仏教メディア / 宗教と文学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、明治期の仏教新聞・雑誌に発表された小説作品を調査分析することで、近代日本における文学作品と仏教の関係性を解明する。 明治政府の宗教政策により大きな転機を迎えた当時の仏教界は、明治期に約800タイトルの仏教新聞・雑誌を刊行したが、そこには小説作品が散見される。 そのため明治期の仏教新聞・雑誌の調査を公共機関を中心に行い、掲載された小説作品を収集し、データベース化することで、これまで等閑視されてきたその作品群の実態を包括的に可視化する。 そしてそれらを明治期の文学史・仏教史や社会状況と照らし合わせて考察することで、文学作品と仏教、ひいては宗教との関係を新たな視点から捉える。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は昨年度から引き続き東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター明治新聞雑誌文庫での調査を中心に行い、慶應義塾大学附属研究所斯道文庫での調査も開始した。その結果小説は約100作品を収集し、昨年度の調査と合わせておよそ500作品となった。今年度収集することができた作品は連載小説が多く、数は昨年度と比較して少なかったものの、幸田露伴や斎藤緑雨など当時の文壇で活躍した作家の作品を複数発見することができた。その中には初出未詳とされていたものや全集未収録の作品も含まれる。こうしたことからも、文学研究における仏教系の新聞・雑誌の重要性を改めて確認した。また作品だけではなく、作家や評論家によるインタビューや評論等も複数発見することができた。このような資料により、個々の作家や作品における研究が推し進められるばかりでなく、当時の文壇と仏教界との関係についての分析がより明確になると考えられる。 また文学に関連する記事についても70点程を収集し、昨年度と合わせて約170点となった。このような記事を多数収集することができたため、当時の仏教界が小説という表現方法をどのように捉え、どう受容したのかという分析が可能となった。 その他、小説作品として分類すべきか判断に迷ったものが約80点あり、今後も慎重に分析を進めていく。また「お伽噺」として掲載されたものを10作品程収集し、昨年度と合わせて約40作品となった。そこには児童文学者として活躍した巌谷小波の作品も含まれる。そのため小説作品におけるリストとは別に「お伽噺」のみのリストを作成することも検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在時点で調査が可能な資料は約550タイトルであり、そのうちおよそ450タイトルまでの調査を終えた。そのため令和6年度は残りの約100タイトルの調査を行うが、遅くとも年内には完了する予定である。ただし欠号を埋めるための資料の収集については、期間内で可能な限り行う。これまで収集した作品のデータについては基本的な情報の入力を終えており、今後は必要なものに簡潔な梗概を付す。 また申請時には、最終年度の後半に調査結果についての発表の準備を行う予定であったが、昨年度から前倒しで収集作品のデータベース化を始めたことで、今年度から調査と並行しての分析が可能となった。その結果、作品の傾向や作品数の多い作者等について分析することができた。その他にも個別の雑誌や作品についての研究を進めた。 以上のように資料の調査については令和6年度での完了の目途が立ち、調査内容の分析や作品等の研究が順調に進んだため、当初の予定よりも早く発表のための準備を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は膨大な資料の調査に基づくものであり、その成果の発表については最終年度に行うことが申請時からの計画である。上述のように令和5年度は調査を行いながら、これまでの結果に対しての分析および作品についての研究を進め、令和6年度での発表の準備を行ってきた。現時点では2件の発表が決定している。 1件目は、2024年5月25日に青山学院大学で行われる第32回日本近代仏教史研究会研究大会で「明治 20 年代の仏教系雑誌における小説についての言説」として、仏教系雑誌における小説についての記事に焦点を当てた発表を行う。 2件目は、7月7日に北星学園大学で行われる第43回日本文学協会研究発表大会で「仏教雑誌『法鼓』における斎藤緑雨と幸田露伴」として、緑雨や露伴の小説作品を掲載した雑誌に焦点を当てた発表を行う。 その他の学会においても既に発表の申請を行なっており、今後も随時これまでの成果を発表し、論文の投稿も行っていく。 またさらに明治期の社会状況や文学史・仏教史・宗教史等に関する資料を踏まえながら、調査結果に対するより多角的な視点からの分析も行う。 そして並行して残りの資料の調査を行い、また可能な限り欠号も補い、収集した作品のデータベースを完成させる。
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