Project/Area Number |
22KJ2863
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Project/Area Number (Other) |
22J11572 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
潘 紅明 立教大学, 社会学部/社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 経済人類学 / バザール経済 / チベット / 骨董商 / バザール / 骨董交易 / 情報通信技術 |
Outline of Research at the Start |
近年、中国側のチベット族、回族、漢民族の行商人や交易仲介者は、チベットや中国本土の路上市場及び海外のアンティーク市場において活躍している。彼らは、SNSを介して中国本土の端末の中産階級に高額なアンティーク品やその模倣品を大量に転売している。 本研究は、経済人類学的視点からエスノグラフィックな研究を行い、多民族から構成される交易仲介者や行商人たちが、ICT技術を活用しながら互酬や詐欺などの相互関係を通して、如何に売り手と買い手の関係を調整し、玉石混淆のアンティークビジネスを展開しているのかという問いを明らかにするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、チベットの路上骨董市における多民族商人のやりとりを事例に、人類学的視点からICT時代における骨董品商人の商慣行の在り方や実態を明らかにすることである。骨董商がSNSやライブコマースを活用しながら、如何に売り手と買い手の関係を調整し、骨董品取引を展開しているのかという問いを理解するために、本研究ではチベットの骨董市における商人への参与観察および聞取り等のフィールドワークを通して、ICTを取り巻く骨董品取引を多角的な視点から検討した。 2022年度は、バーチャル化したチベットの骨董市において商人の商実践がどのように変化しているのかに注目し、ICTの進化によるチベットの骨董品電子取引の新しいメカニズムの独自性を考察した。調査を通して明らかになったのは、ICTがもたらした骨董品取引の時間・空間の重層化や商品の真正性を確保するための情報公開の点である。これは、従来のバザール経済論に対する再考を迫るものであると同時に、バザール経済の現代的定位を問う重要な視点である。 2023年度は、コロナの影響で延期となっていたチベットにおけるフィールドワーク調査を中心に行った。本調査活動は、2023年8月から2024年2月までの約5ヶ月間、中国チベット自治区ラサ市に滞在して実施された。現地調査を通して明らかになったのは、ラサ市の路上骨董市において、チベット東部のカムバチベット族、甘粛省の回族と中国本土の漢民族商人が街の空間的分布の特性をうまく利用し、多様な取引形態として、骨董品取引を行っているという点である。また、チベットの路上骨董市は、詐欺行為が多発する商空間であるため、商人たちが五感を駆使して商品の真偽を判断しながら、常連関係と親族関係に依存していることを確認した。 本研究が報告するのは、ICTの急成長している今日におけるチベットのバザール経済の多様な実態や骨董商の知見である。
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