Project/Area Number |
22KJ2864
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Project/Area Number (Other) |
21J00900 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
米田 有里 立正大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 源氏物語 / 物語摂取 / 巻名歌 / 新古今時代 / 源通親 / 後鳥羽院歌壇 / 源通具 / 中世文学 / 千五百番歌合 |
Outline of Research at the Start |
『新古今和歌集』を編纂した後鳥羽院歌壇は、後鳥羽院を頂点として権門貴顕をも包摂して和歌に邁進し、新古今歌風を確立させた歌壇である。平家全盛期から承久の乱による宮廷社会の挫折に至るまでの、和歌こそが「王朝」を示した時代において、宮廷社会の有力者はどのように和歌に向き合ったのであろうか。そこに表出する意図を物語摂取から考えていく。 物語摂取は物語の情景や詞句を和歌に取り込む技法で、中世の歌壇において最も重要な表現技法の一つだったが、「王朝」を演出するためにも利用された形跡がある。本研究は物語摂取から表現意図を探ることにより、和歌と政治が直接に関わり合った新古今時代の新しい側面に光を当てるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、通具の物語摂取についての分析を進めた。特に、従来ほとんど研究の進められてこなかった建保年間以降の詠歌分析を中心とした。特に、通具に関しては妻俊成卿女による代作という問題がある。そこで、分析する際には当座詠など俊成卿女が代わりに詠むことの難しい状況に絞り、より正確な通具自身の詠歌方法分析を試みた。その結果、通具には『源氏物語』摂取がほとんど見られず、かろうじて物語中に登場する詞を一部借り受けるような表現方法にとどまった。これは、通具が物語から表現を学び、和歌に用いる一方、物語世界に深く溶け込み、内面化するような詠歌方法を取らなかったことを意味する。これまで通具と俊成卿女には表現方法の違いがあることは指摘されてきたが、論の対象になるのは、通具にとって和歌を始めたばかりの時期が主であった。今回通具が和歌に親しみ、歌人としても熟達してきた時期の詠歌分析を行ったことにより、先行研究の指摘が正しいことを証明することができた。同時に、通親のような物語摂取の方法が通具・通光には受け継がれていないことも明らかとなった。親子の違いは、歌人としての経歴以外にも、物語に対する距離の差、両者を取り囲んできた和歌環境などに起因すると考える。今後より精密に分析すべき、新たな課題が生まれたと考えている。 さらに、前年度までの研究を進めてきた源通親の和歌表現について、さらに分析を進め、通親が『千五百番歌合』において全体にどのような『源氏物語』摂取を試みたかを考察した。本考察の成果を『和歌文学研究』に投稿し、採用された。2024年6月に刊行予定である。 通親が『千五百番歌合』で試みた『源氏物語』摂取は、実に多様である。歌林苑・新風歌人からの影響が窺われ、新古今時代における表現をさらに広く見渡す必要性を示す結果となった。同時に、後鳥羽院との関係は考えねばならない今後の課題となった。
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