Project/Area Number |
22KJ2873
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Project/Area Number (Other) |
21J01188 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Kobe University (2023) Waseda University (2021-2022) |
Principal Investigator |
廣田 郷士 神戸大学, 人文学研究科, 講師
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | アンティル文学 / アフリカ文学 / フランス語圏文学 / エコポエティック / デコロニアル研究 / 人種主義 / 文学史 / イデオロギー / コロニアリズム / アンティル / アフリカ / 脱植民地化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、二〇世紀のアンティル諸島仏語文学言語の生成の創出の過程を明らかにすることを目的とした、文学史研究である。歴史学的手法を用いながら文学テクストの背景となる社会史と言説体系を解明し、アフリカ作家やスペイン語圏文学との創作と関心の共時的関係も体系的に明確化することで、言語的・地域的な領域を拡張した、アンティル独自の地域文学史の姿を解明する。地方主義文学と人種意識の勃興、戦間期黒人運動における国際主義、環カリブ海世界の驚異的リアリズムの系譜、戦後アフリカ小説とアンティル小説の断絶と連帯、脱植民地期における文学と政治、「ポスト・クレオール性」の現代小説の特徴、以上の六つの観点から研究を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に以下の3つのアプローチから研究を遂行した。1)環境汚染以後のアンティル文学の動向と変様の調査、2)戦後アフリカ文学における移動と離脱の経験の解明、3)デコロニアル研究における「環境」の理論的整理、以上の3点である。1)では、近年告発されたアンティル諸島での殺虫剤散布による環境被害が、文学・芸術に与えた影響を、ラファエル・コンフィアンやマルコム・フェルディナンらの近年の著作から分析した。2) については、ベルナール・ダディエ『パリの黒人』(1959年)、シェイク・ハミドゥ・カーン『曖昧な冒険』(1962年)の分析をおこなった。その結果、パリへの移動というモダニティの経験が、フランス語による初期のアフリカ小説においては、自己の変容と崩壊として現れていることを突き詰めた。3)では、特にラテン・アメリカ諸国の社会科学分野を中心におこった「デコロニアル研究」の潮流を整理した。モダニティをコロニアリティそのものとして捉えるこの学派における、物質的・象徴的なレベルでのエコロジーの重要性を、とくにアルトゥロ・エスコバルの近年の著作から整理し、デコロニアル研究の理論や概念が、エコポエティックを扱う文学研究において不可欠であることを、再確認した。 また研究成果としては、カリブ海のエコポエティックの諸相を明らかにした日本語論文を1篇、戦後のアフリカ知識人におけるイタリアというトポスとカトリックの影響、また日本におけるエドゥアール・グリッサンの思想の需要と重要性を明かした論考を、いずれもフランス語で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の予定通り、研究成果の公表を進められているため。 当初予定していた研究のための海外出張は叶わなかったものの、それとは別の観点から国内で研究を遂行した。特に国内において進めたデコロニアル研究をめぐる調査と整理は、当初の計画以上の発見があり、引き続き発展させていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、60年代から70年代のアンティルの独立運動と演劇との関係性をめぐって調査をすすめる。現地出版の書物の調査及び関係者からの聞き取り調査が必要である。また2000年代以降に活躍の目覚ましい現代作家の研究においても、作品の分析だけではなく作家へのインタビューも実施しておきたい。そのため、フランス及びアンティル諸島への一定期間の調査出張を行う予定である。
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