Project/Area Number |
22KJ2994
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Project/Area Number (Other) |
22J00959 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
桐原 尚之 同志社大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 障害学 / 社会運動 / セルフヘルプ / 保安処分 / 障害者権利条約 / 精神障害者 / 社会モデル / 現代史 / ピアサポート |
Outline of Research at the Start |
これまで精神障害者の社会運動は、精神医学や社会福祉学を中心に個人に変化を与える集団という観点から研究されてきた。そのため、社会に変化を与える精神障害者の社会運動としての歴史は、断片的な記録があるにとどまり、体系的な研究は先送りにされてきた。障害者本人の視点からの研究としては障害学があるが、障害学においても精神障害者の問題は周辺化されてきた。このように一面的な歴史記述によって精神障害者の社会運動の歴史が不可視にされてきたことは問題がある。そこで本研究では、精神障害者の社会運動の歴史記述を通じて、精神障害者の社会運動が準拠してきた価値規範を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
1990年代の全国「精神病」者集団事務局の急激な体制変化の歴史にかかわる調査、精神衛生実態調査反対以降の歴史にかかわる調査、医療観察法反対運動の歴史にかかわる調査、勧告の精神障害者運動の歴史にかかわる調査をおこない次の事実を明らかにした。 ・1993年に全国精神障害者団体連合会が結成した。全国「精神病」者集団の事務局内は、全精連の評価をめぐって立場がわかれた。文脈としては、政治団体の影響と埼玉県における当事者団体間の力学、「処遇困難者」専門病棟新設への態度及び手帳制度への態度が大きく作用していることがわかった。 ・反対運動をけん引してきた東京地域精神医療業務研究会は、精神障害者を調べるのではなく、精神病院を含む精神障害者の置かれた実態を調べるべきだと主張した。厚生省は、精神衛生行政の基礎資料となる統計が不足を補うべく、全国精神障害者家族会連合会が実施した調査報告に依拠するようになっていった。精神科病院の実態については、『我が国の精神衛生』の一部であった統計データを1997年に630調査というかたちで調査結果を冊子にして公表したことで、その後の精神保健医療福祉改革ビジョン(2005年)などの政策につながっていった。 ・2010年10月、当事者団体としてKAMIが結成した。2012年、当事者であることを隠して弁護士という立場でかかわっていたジョン・オーヤンは、自らが精神障害の当事者であることを宣言した。その後、精神障害者であることをカミングアウトするキャンペーンを実施し仲間づくりに重点を置くようになった。2014年には、韓国政府に対する障害者権利条約政府審査があり、パラレルレポートの作成において中心的な役割を果たした。また、医療保護入院違憲訴訟をおこない違憲判決を引き出した。精神保健福祉法が改正され、医療保護入院に期限が設けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1990年代の全国「精神病」者集団事務局の急激な体制変化の歴史にかかわる調査、精神衛生実態調査反対以降の歴史にかかわる調査、医療観察法反対運動の歴史にかかわる調査、勧告の精神障害者運動の歴史にかかわる調査の4件については、主だった調査がおおむね完了し、論文にまとめる段階まできた。現在、論文は執筆中であり、投稿には至っていないが、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
台湾の精神障害者の社会運動の歴史にかかわる調査については、台湾障碍人協会の資料調査と関係者から聞き取り調査をおこなう。時期は、2024年4月~8月までとする。北京の精神障害者の社会運動の歴史にかかわる調査については、CNUSPの資料調査と関係者から聞き取り調査をおこなう。なお、調査対象者への承諾は、すでに得られている。時期は、2024年4月~8月までとする。 博士論文と特別研究員の成果をあわせて『日本の精神障害者の社会運動の歴史』について単著を出版する。大野萌子遺稿集は、採録を含むすべての工程を終えた。2024年9月に出版される。
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