Project/Area Number |
22KJ3001
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Project/Area Number (Other) |
22J15954 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
藤本 慎也 同志社大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 災害社会学 / 防災リテラシー / パネル調査 / 先有傾向 / 選択的接触 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、地域住民の防災リテラシー格差の発生・維持メカニズムを計量的に明らかにすること、ならびに、格差を拡大させない防災リテラシー向上方策を検討することである。「防災」を冠した防災対策の取り組みは、防災に強い関心のある住民は反応しやすい一方で、関心のない住民は反応しにくいことから、期せずして防災関心層と防災無関心層の間のギャップを拡大してしまいかねない。本研究では、社会調査データに基づき、防災リテラシーの規定構造や現時点で存在する格差を分析し、格差が生成・維持されるメカニズムや、格差を再生産させずに防災リテラシーを向上させる戦略に関する知見を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、人々の間に生じうる防災リテラシーの格差発生・拡大過程を「先有傾向」、「選択的接触」という枠組みに基づき仮説化した。具体的には、①防災リテラシーが元々高水準であるほど防災体験活動・支援活動に接触しやすい、②諸活動への関与による防災リテラシーの向上効果は先有的な防災リテラシーにより異なり、防災リテラシーが元々高水準であるほどその向上幅が大きい、③その結果、防災リテラシーの格差が発生・拡大する、という一連の仮説を設定した。 これらの仮説を検証すべく、2022年3月(第1波)、2023年3月(第2波)に行ったパネル調査(ウェブ調査)のデータ分析を行った。分析の結果、①先有的な防災リテラシーが高いほど、防災体験活動・支援活動(防災訓練、災害ボランティア、被災地への募金等)へ接触していた、②全ての種類の活動において、先有的な防災リテラシーが高いほど活動関与による向上効果が大きいわけではなく、活動によっては元々低水準の人ほど向上効果が大きかった、③本研究で検討した諸活動は、活動への接触の段階では偏りがあるものの、接触した結果として防災リテラシーの格差が一貫して拡大しているとは認められなかった。 本研究ではさらに、2024年3月に第3波調査を実施し、より長期的な視点から格差の傾向を分析した。結果、第1波-第2波間と同じく、第2波-第3波間でも先有傾向によって諸活動への選択的接触が生じていた。しかし、第1波-第2波間では選択的接触の結果として防災リテラシーの格差拡大が認められなかった活動であっても、第2波-第3波間では格差が拡大していることを示す結果が得られた。第2波-第3波間には能登半島地震が発生していることから、諸活動への接触結果としての防災リテラシーの変動は、先有的な防災リテラシーだけでなく、得た知識の活用場面を想起させる出来事との相乗効果に影響される可能性が示唆された。
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