Project/Area Number |
22KJ3023
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Project/Area Number (Other) |
22J01426 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University (2023) Ritsumeikan University (2022) |
Principal Investigator |
青木 耕平 愛知県立大学, 外国語学部, 講師
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 現代アメリカ文学 / ポスト冷戦 / 1990年代 / トニ・モリスン / コーマック・マッカーシー / 村上春樹 / 大江健三郎 / アメリカ文学 / 現代文学 / 多文化主義 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1990年代のアメリカ合衆国文学シーンに登場した新たな文芸潮流を対象とし、今日まで続く影響を明らかとするものである。明らかにされるものは:①デヴィッド・フォスター・ウォレス『インフィニット・ジェスト』、②キャノン・ウォーズと多文化主義と新自由主義の関係性、③産業システムとしての「創作文芸科」の1990年代における成立過程、の三つである。これらは未だ日本に導入/紹介されていない作家・作品・潮流であり、我が国の1990年代文学研究を前進させるものである。グローバリズムの波に乗った1990年代アメリカ発の文学潮流を研究することは、結果として「世界文学」研究にも寄与することになるだろう。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該の2023年度の主要な研究実績は、一度の学会発表と、二本の論文投稿である。 学会発表は、2023年6月17日に、日本アメリカ文学会中部支部の六月例会にて「1990年代のトニ・モリスン:「ビラヴド三部作」シノプシスを読む」と題して口頭で行った。これは、2022年度に本科研費を使用して渡航した米国プリンストン大学ファイヤーストーン図書館内にある「トニ・モリスン・ペーパーズ」資料調査の成果である。 論文実績としては、「一九八六年のビーンボール:大江健三郎のアメリカ講演録 “Japan's Dual Identity: A Writer's Dilemma” を読む」を『ユリイカ』2023年7月臨時増刊号に掲載した。査読ではないが、編集部より依頼があって寄稿した学術論文である。大江健三郎という戦後の日本文学を代表する小説家が、当時まだアメリカで全く無名であった村上春樹を純文学ではない、とアメリカの聴衆に対して批判を行なっていたこと、そしてその批判は当時のアメリカを中心とした人文学の語りに合致していることを明らかとした。のちにその二人の関係性がポスト冷戦期に反転し、そのモードの変更が1990年文学を取り巻くディスコースと不可分であることを論証した。 もう一つの学術論文、「ビリーはメキシコに行った:コーマック・マッカーシー「国境三部作」と北米自由貿易協定」を『MULBERRY』第73号に掲載した。これは所属する愛知県立大学外国語学部英米学科が発行する紀要雑誌であり、外部査読こそないものの着任時に寄稿を依頼され内部審査を受けたものである。コーマック・マッカーシー「国境三部作」がいかに1990年代アメリカの経済とりわけNAFTAと言説の上で親和性があるかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように、当該年度は一度の学会発表を行い二本の学術論文を投稿・掲載することができた。よって、研究は「(2)おおむね順調に進展している」とするのが妥当だろう。 「(1) 当初の計画以上に進展している」を選べなかった理由としては、2022年度をもって日本学術振興会特別研究員PDの職を辞し、愛知県立大学に講師として着任したことで、一年目ほどの時間を課題研究に注げなくなったことが大きいと考えている。一年目は二度実施できた国外渡航調査も、当該年度は行くことができなかった。これは申請者にとって現職が初めての専任職であり、想像以上に初年度の講義準備に忙殺されたことが原因であると考えている。 上記の反省を踏まえ、採択最終年度となる2024年度は国外調査を実施し、さらに研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の採択初年度より立命館大学を拠点として始めた「デヴィッド・フォスター・ウォレス『Infinite Jest』読書会」だが、二年間ほぼ毎月のように継続して開催した結果、2023年度末に一度目の通読が完了した。よって2024年度は、『Infinite Jest』論の執筆に着手することとなる。これが本課題「新誠実」の成果となる見込みである。 「多文化主義」に関してであるが、2024年10月初旬に中京大学で開催される日本アメリカ文学会全国大会にて、「"Erasure" から "American Fiction" へ:文化戦争を考える」と題した研究発表を口頭で実施することが決まっている。2022年度に立命館英文学会にて口頭発表を実施したイシュメール・リード『春までに日本語』論と合わせ、多文化主義と文学を考察する論文となる予定である。 「創作文芸科」についてであるが、ウォレスもリードも創作文芸科出身であるだけでなく講師でもあるため、上記二つの論文内で必然的に「創作文芸科」の分析も組み込まれる予定である。また、これらの発表・論文をより多角的に進めるため、科研費を用いた実地調査を実施する計画である。 「既存のものとは違う1990年代アメリカ文学論」を書くことが本課題の最重要事項であり、採択最終年度となる2024年度は雑誌論文や口頭発表のみならずより広く一般にリーチするため単著を著すことを最終的な目標に設定する。
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