Project/Area Number |
22KJ3037
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Project/Area Number (Other) |
22J23500 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
米田 優作 立命館大学, 国際関係研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | サラフィー主義 / 現代中東政治(エジプト) / 「アラブの春」以降の政治と宗教 / イスラーム政治思想 / 中東地域研究 / 思想研究 / フィールドワーク / 現代中東政治(esp. エジプト) |
Outline of Research at the Start |
本研究では、21世紀以降の中東地域の政治において急速に台頭している宗教保守派、すなわちサラフィー主義勢力に着目する。従来は政治志向が弱いと認識されてきたサラフィー主義勢力は、宗教復興が進んだ中東広域で政治介入を進めており、その背景にある思想的内実や思想ネットワークの様態を明らかにすることが本研究の目的である。 本研究は、従来型の文献調査にとどまらず、フィールド調査を組み合わせ、社会における思想の受容実態、その思想が形成された政治・社会的文脈、思想が形成された背景にある人的交流、他の思想潮流との関わりなどを動態的に解析・考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初より計画していたエジプトでの学術調査を実施した。また、本年度中に研究発表を7本(うち国際会議での口頭発表・ポスター発表を4本)・英語論文投稿1本を行った。以下にその概略を記す。 2024年1月末から2月末にかけての約4週間、エジプトでの学術調査を実施した。同調査中は、前年度に構築した調査対象者との信頼関係・ネットワークを活かし、聞き取り調査を実施したほか、彼らが発信するアラビア語原典資料等の1次資料の収集を中心に行った。 2023年5月には、日本中東学会第39回年次大会に参加し、研究発表を行った。7月には、英国エクセター大学にて開催された英国中東学会に参加し、英語による研究発表を行った。8月には世界国際関係学会アジア太平洋地域大会に参加し、英語によるポスター発表を行った。また、8月末に立命館大学中東・イスラーム研究センターとヨルダン大学戦略研究所とのジョイントでオンライン開催された国際ワークショップにて、英語による研究発表を行った。10月には立命館大学アジア・日本研究所主催の第60回AJI研究最前線セミナーに参加し、研究発表を行った。2024年2月には、エジプト・カイロに所在する日本学術振興会カイロ研究連絡センター主催で開催された定例懇話会にて研究発表・講演を行った。2月末には、立命館大学中東・イスラーム研究センターおよび現代中東政治研究ネットワークの共催のもと、第1回GSMEIAS(中東・イスラーム地域研究 院生研究会)研究会を企画・主催し、そこで研究発表を行った。 最後に、前年度からの研究成果の一部を英語論文として取りまとめ、学術誌『Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies』(査読あり)に投稿し、掲載が決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、21世紀以降の中東地域の政治において急速に台頭しているサラフィー主義勢力(これまでの人知により形成されコンセンサスを得てきたイスラーム四大法学派=二神学派体制の伝統の権威に否定的な立場をとり、聖典クルアーンや預言者ムハンマドの慣行などを直接再解釈することで、篤信の初期世代に見出される理想的なイスラーム像を実現しようとする、スンナ派イスラーム理解・解釈の一潮流)に着目している。従来は政治志向が弱いと認識されてきたサラフィー主義勢力は、宗教復興が進んだ中東広域で政治介入を進めており、その背景にある思想的内実や思想ネットワークの様態を明らかにすることが本研究の目的である。 本研究では、従来型の文献調査にとどまらず、現地調査を組み合わせ、社会における思想の受容実態、その思想が形成された政治・社会的文脈、思想が形成された背景にある人的交流、他の思想潮流との関わりなどを動態的に解析・考察することを目指している。 本年度は、下記の「今後の研究の推進方策」でも記す通り申請書提出時点の計画から変更が生じたものの、次年度(最終年度)での研究成果の取りまとめに向けて研究を進め、これまでの現地調査および文献調査により得られた成果をもとに、前年度に引き続きアウトプットを積極的に行った。実際に、本年度中は国内学会での口頭発表3本、および国際学会での口頭発表・ポスター発表を4本、合計7本の学会発表を行なったほか、査読つき英語論文1本を投稿し、掲載が決定した。これらの研究発表の機会では、聴衆からの数々の有意義なフィードバックを得ることができた。これを活かすことで、自身の研究内容の精査と質的向上、そして博士論文としての研究の深化に努めることができた。 以上の理由から、当初の計画から変更が生じたものの、本研究は現在まで概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(最終年度)については、引き続きアラビア語原典資料の収集と解析を行うと同時に、これまでの成果を元に博士論文の執筆を行う。なお、申請書提出時点での計画では、エジプトに加えて、クウェートやサウディアラビアでの調査も計画していた。しかしながら、現在までの研究の進捗状況および先行研究を含めた当該分野の最新の研究動向を鑑みるに、これまで主たる研究対象としてきたエジプトのサラフィー主義者・組織の実証分析を徹底することが最善であると判断した。そのように方針転換をした場合でも、当初の計画通り、当該分野(i.e. サラフィー主義研究)に限定されない、イスラーム政治思想研究や現代中東政治研究といったより広範な学問領域の側への学術的インパクトが見込まれることから、今後最終年度にかけてはエジプトの事例分析を優先しそれを確実に行うこととする。
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