Project/Area Number |
22KJ3232
|
Project/Area Number (Other) |
22J00039 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
|
Research Institution | Otsuma Women's University (2023) Sophia University (2022) |
Principal Investigator |
貞包 和寛 大妻女子大学, 家政学部, 講師
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | ポーランド / マイノリティ / 社会言語学 / 言語政策 / 戦間期 / 民族的少数者/マイノリティ |
Outline of Research at the Start |
戦間期ポーランドをめぐる事象は、歴史学などでは広く研究されているものの、言語政策に特化した研究はいまだに少ない。しかし戦間期ポーランドは、総人口の 3 割がマイノリティ(非ポーランド系市民)という状況にあり、その利害調整は常に重要な政治課題であった。本研究は、戦間期ポーランドがこうした利害を政策的にどのように調整しようと試みたかを実証的に明らかにするための研究である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023 年度は、戦間期のポーランドで制定された法律文書の整理・翻訳作業を中心に行った。戦間期のポーランドでは人口の 3 割をマイノリティ(非ポーランド系市民)が占めており、当時のヨーロッパにおいて民族的・言語的にもっとも多様な国家であった。この状況下において、1924 年に、ウクライナ(ルシン)系・ベラルーシ系・リトアニア系に対する言語政策(いわゆる「クレスィ諸法」)が成立している。一方で、国内でウクライナ(ルシン)系に次ぐ人口を占めていたマイノリティであるユダヤ系は、クレスィ諸法で言及されていない。この理由を解明すべく、1924 年(クレスィ諸法成立以前)に成立した法律を中心に概観し、ユダヤ系に関する言語政策がどのように定められていたかを明らかにすることを試みた。 この作業と並行して、戦間期のポーランドの多民族性、多言語性をより詳しく分析すべく、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの資料なども活用し、当時の言語状況に関係する基礎資料の収集も行った。具体的には、Wasilewski "Sprawy narodowosciowe w teorji i w zyciu"(1929 年)、Chalupczak "Mniejszosci narodowe w Polsce: Materialy do bibliografii 1990-1996"(1998 年)などの複写・分析を行った。 また、2024 年 3 月に、日本スラブ学研究会研究発表会にて、言語景観に関するパネル発表に加わった。報告者はこの機会に、ポーランドの言語景観を規定する法律の歴史的背景などの解説を行い、本研究と関連付けた。 2023 年度は基礎資料の収集・翻訳を中心に行ったため、遺憾ながら成果公開を十分に行うことができなかった点が反省点である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023 年度の所属変更(学振特別研究員 PD → 大妻女子大学)に伴い、授業・教務に関連する新たな業務が増加したため、遺憾ながら 2023 年度は研究に十分な時間を割くことができなかった。また、戦間期ポーランドの言語政策の研究は、ポーランド本国でもそれほど多くの研究成果があるわけではない。よって、本研究の基盤を構築するためには、法律文書・公文書などの一次資料の整理・翻訳の作業に多くの時間を割く必要がある。基礎資料の収集、翻訳作業を進め、次年度以降には積極的に成果を公開していきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
戦間期ポーランドの言語政策を規定する法律文書は、日本語はもとより英語にもほとんどが翻訳されていない。当時の時代背景を踏まえた読解を行い、研究の基盤を構築する必要がある。したがって、次年度も資料の翻訳作業を積極的に行っていく。とりわけ、1924 年以前の法律文書は、上記のクレスィ諸法が成立した背景として特に重要である。今後は、これらの翻訳作業の成果を学術誌あるいは所属先である大妻女子大学を経由して出版することを目標とし、研究を進めていく。
|