Systems biology approach on the transmission of asymptomatic malaria infection toward malaria eradication in tropical Africa
Project/Area Number |
22KK0129
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 54:Internal medicine of the bio-information integration and related fields
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
金子 明 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (60169563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀谷 渉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (20782577)
砂原 俊彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50264156)
Chan ChimWai 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50844809)
皆川 昇 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00363432)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥20,020,000 (Direct Cost: ¥15,400,000、Indirect Cost: ¥4,620,000)
Fiscal Year 2025: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 熱帯熱マラリア / 無症候性感染 / 重症マラリア / マラリア撲滅 / ケニア / ビクトリア湖 / 天井式蚊帳 / マラリア / 伝播 / システム生物学 / 媒介蚊 |
Outline of Research at the Start |
現在のマラリア対策最大の障壁のひとつは、無症候性・顕微鏡検出限界以下の感染によって残存する伝播にある。本研究では、多様な流行環境を包括するケニアのヴィクトリア湖地域に、環境、媒介昆虫、社会経済学的因子と共に感染、発症を時空間的に把握する前向きコホートを設定し、無症候性・顕微鏡検出限界以下感染の生態疫学的リスクを評価する。さらに、それらの感染を規定する原虫遺伝学的因子の探求、ならびに媒介蚊吸血行動を変化させ効率的な伝播を可能にするヒト由来媒介蚊誘引因子の解析を通じて、残存する伝播の統合的な理解を目指す。得られた研究成果は無症候性感染の制御を通じた新たなマラリア対策戦略の構築に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々が研究対象地とするケニア、ビクトリア湖畔では長期残存型殺虫剤処理蚊帳(LLIN)などの媒介蚊対策法が高いカバー率で行き渡っているにも拘らず、高いマラリア流行が続く。LLINの防御効果は、住民の多目的な蚊帳利用(漁網、鶏舎、トイレ、様々な紐など)や媒介蚊の殺虫剤耐性の出現などによって減弱している。更に我々の調査では、最も原虫感染率が高い小学校学童の多くは、住居が小さいため就寝時寝室におけるベット(両親と幼児が占める)を使わず、居間で床にマットを敷いて寝るため適切に蚊帳が使えないことがわかってきた。これら既存のLLINの弱点を補う方策として我々はオリセットプラス天井式蚊帳という新たな媒介蚊対策法を提唱する。天井式蚊帳とは媒介蚊の重要な家屋内への侵入口である軒下(屋根と壁の隙間)あたりから媒介蚊の人吸血後の休息場所である天井全体を覆う蚊帳である。この天井式蚊帳を、特にピレスロイドに殺虫剤としての相乗効果が期待されるピペロニルブトキシド(PBO)を組み込んだLLIN素材(OlysetPlus)にて特注したものを検証する。この新規媒介蚊対策法は現在進行するLLINやIRSなどの既存の対策法を補う効果が期待される。 上記の新規媒介蚊対策と並行して、COVID-19パンデミックの間にマラリア対策の利用可能性がいかに変化し、それに対する人間の行動適応がいかに個人レベルのマラリア疾病負荷を変化させたか、それにより獲得免疫がどのように修飾され、マラリア疾患の重症度を細胞レベルで調節しているかを評価するためのシステムアプローチを進めている。 本プロジェクトの究極的な目標は、対策法の効果を最大化するマラリア撲滅に向けたレジリエントな包括戦略を開発することにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マラリア予防行動を理解するために、ホマベイ郡スバ南で前向き縦断コホートを計画・構築し、マラリア感染のリスク認知を評価するために12ヵ月間追跡調査した。マラリアのリスク認知は、コホート参加者が感染を予防し、マラリアが疑われる場合に治療を受けるかどうかの意思決定を探るために特別に作成された質問票によって評価された。また、感染状態を調べるために血液サンプルが採取された。リスク認知、予防行動、感染/発症状況、免疫マーカーの個人プロファイル間の関係が分析される。このコホートは5歳から65歳の約300人で構成され、毎月12ヵ月間追跡された。毎月1回、マラリア原虫感染、体重、腋窩体温、ヘモグロビン値を測定するための血液サンプルが採取された。マラリア原虫感染の顕微鏡検査とPCR検査は、すべての訪問でほぼ終了している。2ヵ月ごとの静脈採血から末梢血単核球(PBMC)を分離し、ホマベイ郡病院の研究室の-80℃の冷凍庫に保存した。処理されたPBMCサンプル数は、同時にマラリア感染しているサンプル数や、飛行時間型サイトメトリー(CyTOF)で分析できるサンプル数を大幅に上回っているため、免疫細胞のプロファイルと疾患の重症度との関係をみることができる最適なサンプルセットを選択するために、顕微鏡検査とPCRによる感染症に関するデータ、および臨床的特徴を再検討しつつある。研究期間が長く、アンケート調査と採血の頻度が高いため、コホート参加者の参加維持が常に課題となった。研究チームは、参加者の便宜を図るために決められた時間に自宅を訪問したり、研究チームの中心メンバーが定期的に現地を訪問して参加者の関心を維持したり、参加者の時間を補うために少額の報酬を支払うなど、研究プロトコルの最適化に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
天井式蚊帳+集団投薬:我々は、マラリア伝播環で原虫を保有するヒトおよびマラリア媒介蚊を対象とした、オリセットプラス天井式蚊帳(ペルメトリン2%と相乗剤ピペロニルブトキシド1%)およびジヒドロアルテミシニン-ピペラキン+プリマキン低用量単回投与(DHAP+PQSLD)による集団投薬(mass drug administration: MDA)を2か月間隔で2回実施する包括的戦略の有効性、受容性、実施可能性、費用対効果を評価することを目的とする研究を計画する。対象地は、 アルテミシニン部分耐性(partial ART-R)マラリア原虫出現が顕在化してきたケニア、ルワンダ、タンザニア、ウガンダの国境をまたぐ地域で、各国のマラリア対策プログラム(National Malaria Control Program: NMCP)が実施している標準的なマラリア対策と、マラリア伝播のヒトと媒介蚊の原虫を相乗的に抑制するこの新しい包括的戦略を比較するものである。 システムアプローチ:現在の計画では、CyTOFを用いて、マラリアの臨床症状と関連する免疫細胞のレパートリーの特徴を明らかにすることである。CyTOF解析を補完するために、シングルセルRNAシーケンス(sc-RNAseq)を用いて、同じ免疫細胞集団における発現制御を分子レベルで理解する可能性を探っている。sc-RNAseqの結果は、CyTOF解析で得られた知見と一致し、免疫マーカーのサブセットと疾患の重症度/症状との関連を独立に確認できるものと期待している。 研究結果の共有と今後の研究の方向性については、グレートレイク・マラリア・イニシアティブの傘下で、現地の研究者、公衆衛生担当者、政府代表者とさらに協力していく予定である。その目的は、フィールド調査から得られた知見を、実行可能な政策に反映させることである。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)