Project/Area Number |
22KK0191
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤澤 潤 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (90801100)
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Project Period (FY) |
2023 – 2025
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥15,080,000 (Direct Cost: ¥11,600,000、Indirect Cost: ¥3,480,000)
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Keywords | 冷戦史 / ソ連史 |
Outline of Research at the Start |
本国際共同研究は、冷戦終焉期を「模索の時期」と捉える基課題の視点をグローバル冷戦史にも敷衍し、ワルシャワ条約機構とコメコンにおいて、ソ連・東欧の「グローバル・サウス」からの撤退と新たな関係の構築をめぐって3者間でどのような協議がなされたかを総合的に解明することで、欧州冷戦史とグローバル冷戦史の相互関連性を踏まえた新たな冷戦終焉像を構築することを目指すものである。本研究課題の分析対象が多岐にわたることから、カレル大学(プラハ)の海外共同研究者や研究協力者に東欧や中近東などについての研究を分担してもらうとともに、申請者自身カレル大学に1年間滞在して史料調査ならびに共同研究を活発に進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヨーロッパにおける冷戦の終焉とソ連・東欧の「グローバル・サウス」からの撤退をめぐって、ワルシャワ条約機構とコメコンにおいてどのような協議がなされたかを総合的に解明することを目指すものである。この研究目的を果たすため、本研究では、申請者自身が2024年4月より1年間プラハのカレル大学に滞在し、共同研究者とともに研究を進める予定である。本年度は、2024年度以降の本格的な共同研究に向けて、共同研究者や研究協力者と研究方針の調整を進める一方で、本研究課題に関連する国内外の文献、史料集などを広く収集・検討した。 その結果、共同研究者や研究協力者を通じて、関連するテーマを研究しているヨーロッパの研究者と新たに交流することができたほか、冷戦末期のソ連・東欧諸国と「グローバル・サウス」との関係について新たな史料を入手することができた。これらの史料の内容は多岐にわたるため今後本格的に分析する必要があるが、1980年代に東欧経済が行き詰まるにつれて東欧諸国はますますアジア・アフリカ諸国との貿易を通じて外貨を確保しようと努めたものの、イラン・イラク戦争などの紛争やアジア・アフリカ諸国の経済難のために、兵器輸出などを除くと十分な成果を上げられなかったと考えられる。言い換えれば、経済的にソ連・東欧のプレゼンスは後退していたとはいえ、そのことはソ連・東欧の「グローバル・サウス」に対する交渉努力の低下を招くことはなかった可能性がある。こうした点も含めて、1980年代にソ連・東欧とアジア・アフリカ諸国の間でどのような交渉があり、どのような関係が構築され、1989年の東欧激動でどのように変化したかについては、ヨーロッパの冷戦状況やペレストロイカとも関連させつつさらに検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2024年度以降の本格的な共同研究に向けた準備期間であるが、共同研究者と緊密な協力体制を築くとともに、ヨーロッパの多くの研究者と接触し、本研究にむけて意見交換を行うことができた。さらに、共同研究者を通じて多くの文献や現在進行中の研究についての情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年4月から2025年3月まで申請者自身がプラハ大学に滞在して、共同研究者とともに本研究を進める予定である。具体的には、共同研究者とお互いの研究の進捗について定期的に意見交換を進めるとともに、プラハ大学の研究セミナーでプロジェクトの内容を報告し、フィードバックを得る。同時に、申請者自身は、チェコ国立文書館ならびに外務省文書館で関連史料の収集・分析を進めて、次のセミナー報告までに実証面での分析を強化する予定である。さらに、チェコでの史料調査・意見交換等と並行して、ワルシャワとベルリンでも研究協力者との意見交換や調査を進め、共同研究をけん引していく予定である。
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