Project/Area Number |
23901005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
哲学・芸術学
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
酒井田 千明 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部・企画課・文化交流展室, 研究補佐員
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 伊万里金襴手様式 / 康煕五彩 / 輸出陶磁 |
Research Abstract |
申請者は、21世紀COE九州産業大学・柿右衛門様式陶芸研究センタープログラム(平成16年度採択、拠点番号28)「柿右衛門様式磁器欧州調査プロジェクト」、および平成22年度科学研究費補助金・奨励研究(課題番号22901009)「欧州に伝世する17世紀末から18世紀全容における伊万里磁器の様式展開の再検討」の調査を通じて、伊万里磁器が柿右衛門様式から金襴手様式へと展開する過程において、伊万里と共に欧州に伝世する中国・康煕五彩手の影響が顕著に見られることを発見した。このことから、伊万里磁器の様式展開の全体像を把握するためには、欧州に伝世する中国磁器について整理・検討を深めることが重要なプロセスであることを確信した。 そこで、本研究では、康煕五彩手を中心に17世紀末から18世紀中期の中国磁器の調査を行い、様相を明らかにし、伊万里磁器の様式展開への影響について考察を行うことを目的とした。 研究は下記の方法で実施した。 (1)COEおよび平成22年度奨励研究で調査を行った欧州の王侯貴族の城館のうち、16世紀から18世紀の中国磁器を所有するコレクションを選出し、図録や既存の調査写真を用いて伝世品のデータを整理し、各コレクションの様相や特徴を明らかにした。 (2)上記のリサーチを基に調査を行う中国磁器コレクションを決定し、英国・オランダの城館および美術館所蔵作品の調査を行った。 その結果、下記の研究成果が得られた。 (1)海禁令(1656年)以前に欧州に輸出されたと推定される中国磁器は青花磁器が中心で、五彩磁器の伝世例は圧倒的に少ない。 (2)展開令(1684年)以後に欧州へ輸出されたと推定される中国磁器には、五彩磁器の伝世例が増加し、技術的にも改良点が見られた。 (3)以上のことから、欧州における東洋磁器の市場において、中国からの貿易が中断していた間に伊万里によって色絵磁器の需要が確立されていたことが明らかとなった。
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