GHQ占領期資料を用い日本「古典」概念変容の重層性を分析する学際的国際的総合研究
Project/Area Number |
23902008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国語・国文学
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川崎 賢子 (志賀 賢子) 早稲田大学, 政治経済学術院, 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | GHQ/SCAP占領政策 / 「古典」概念 / 文学文化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、GHQ/SCAP(連合国軍最高総司令部)占領下におけるメディア政策及び教育政策が、検閲と教育的指導・奨励を通じて日本文学の表現・言説・概念とそれらについての研究・批評・教育の枠組に及ぼした影響を、GHQの検閲のために提出された雑誌・新聞・図書資料のコレクションである米国メリーランド大学プランゲ文庫所蔵資料及び米国公文書館の占領期関連資料を一次資料として分析し、とくに日本文学の「古典」概念の変容を考察するところにあった。 データベースをツールとして、占領下に著しく評価ないし受容が変化したトピックを抽出し、定量分析を行う傍ら、渡米調査によって「古典」「神話」「民話」「歴史物語」に対する指導と検閲方針を示す資料を収集した。とりわけ戦前戦中に刊行された「古典」刊本および「古典」研究書が占領期の検閲を受けた事例研究を通じ、「古典」による共同体の組織化に対する、占領政策の関与が浮き彫りになった。たとえば「古事記」「日本書紀」を「歴史」として尊重するという立場に対しても、民族的想像力のあらわれの「神話」として尊重するという立場に対しても検閲は介入した。処分は、直接的に戦時体制の精神的支柱として、「封建主義」「日本主義」「超国家主義」「軍国主義」の正当性あるいは正統性をいう根拠として「古典」が利用される場合だけに限らない。「古典」を尊重する言説が、たとえ平和主義を強調する場合にも、古さや伝統を強調する場合にも、それが自文化尊重や文化的優位性の観念と結びつくと、「プロパガンダ」として処分対象とされている。 本研究の成果は、これまで調査の及ばなかった「古典」概念の領域におけるGHQ検閲の実態を明らかにしたところにある。が、それにとどまらず、検閲という切断面に照らして、戦前戦中における「古典」「歴史」「神話」概念の編成と戦後におけるその変容とをあわせて考察する手掛かりを得たことが大きな収穫である。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)