Project/Area Number |
23903001
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
外国語・外国文学
|
Research Institution | 関西学院大阪インターナショナルスクール |
Principal Investigator |
有本 昌代 関西学院大阪インターナショナルスクール, 日本語教師
|
Project Period (FY) |
2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2011: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 作文調査 / バイリンガル生徒 |
Research Abstract |
2011年6月~2011年12月に、バイリンガル生徒と日本人生徒(中学2年生~高校2年生、30名、38名)を対象に物語作文の調査を行った。本研究の目的は、(1)作文の評価に与える要因は何かを分析すること、(2)バイリンガル生徒の日本語能力と同年代の日本人生徒と比較して、その共通点と相違点について分析することである。 調査の方法としては、ある1枚の絵を見せ、その絵について15分以内で物語文を書いてもらう。次の項目について作文の分析を行う。1)産出量、2)語彙の多様性(延べ語数×2の平方根あたりの従属節の数)、3)語彙の質、4)漢字使用率、5)副詞・形容詞の使用率、6)文法の質、7)誤用の項目について、内容の評価に与える要因を相関関係から分析した。また、同項目について、バイリンガル生徒と日本人生徒の作文の比較から考察した。 その結果、バイリンガル生徒と日本人生徒の作文の特徴として、全体として中学校2年生時にはバイリンガル生徒と日本人生徒の日本語力には大きな差はなかったが、学年が上がるにつれ日本人生徒の作文においては日本語能力の大きな伸びが観察された。項目ごとに比較してみると、両集団において1)産出量、3)語彙の質、4)漢字の使用率が学年を経るごとに増加している点が観察された。また2)語彙の多様性、5)形容詞・副詞、6)文法の質については、両者において大きな違いが見られなかった。興味深かったのは、バイリンガル生徒も日本人生徒も高校1年生の学年においてどの項目においても数値が低下していたことである。 さらに、それぞれの作文において、内容の高い評価につながる要因の相関関係を分析した結果、バイリンガル生徒の作文においては語彙の多様性が内容の評価ともっとも相関が高かった(r=0.72)。中程度の相関が見られたのは、産出量(r=0.55)、総語彙数(r=0.56)においてである。日本人生徒の作文においては複数の要因が作文の内容の評価と中程度の相関を持っていることが観察された。形容詞・副詞の使用(r=0.56)、語彙の多様性(r=0.51)、漢字の使用(r=0.53)。以上のことから、作文の内容の評価にいい影響を与えるのは、今回の調査から「語彙の多様性」の役割が大きいと言える。多様な語彙を用いて場面を描写できる語彙力の指導が大切であると言える。
|