Research Abstract |
本研究では,高校生を対象に,高校生活における対人関係と家族関係の悩みに焦点をあて,援助要請行動(悩みを相談する行動)を抑制する要因を抽出し,検討することを目的とした。 A県の高等学校計3校に在籍する高校1年生から高校3年生までの生徒573名を対象とした。質問紙では,悩みの種類を,学校生活における対人関係(教員を除く)(以下,対人関係)と家族との関係(以下,家族関係)と設定し,助けを求めたいと思いながら助けを求めない理由について,対象(親,教員,友人)ごとに,自由記述により回答することを求めた。その結果,対人関係(親)で438,対人関係(教員)で442,対人関係(友人)で402,家族関係(親)で331,家族関係(教員)で344,家族関係(友人)で345,の回答が得られた。 その後,臨床心理士4名でKJ法によって分類した。その結果,いずれの悩み及び対象においても,「自力解決」「感情」「不信」「気遣い」「自尊心」「解決不能感」「相談機会の欠如」「タイミング」「相談拒絶」「対象への嫌悪感」「自分と無関係」「当事者性」「重要性の低さ」「秘密保持」「労力」「問題悪化の懸念」「秘密保持への懸念」の小カテゴリーが得られた。出現率を検討すると,悩みと対象ごとに特徴があることが確認された(具体的には,対人関係:親は「気遣い」(出現率27.9%),教員は「不信」(同22.6%),友人は「不信」(同20.9な%),家族関係:親は「当事者性」(出現率20.2%),教員は「当事者性」(同15.4%),友人は「気遣い」(同18.0%))。以上の結果をもとに,悩みの種類と対象ごとの抑制要因を理解し,適切に援助することで,高校生の援助要講行動を促進することが期待される。
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