Research Abstract |
本研究は、研究代表者の田村が勤務する大学という公的性格の強い組織の中で、「利益追求」と「安全確保」という二つの正反対の力がどのようにぶつかり合っているのか、また、実際のお互いの落としどころがどのあたりにあるのかを、フィールドワークとインタビュー調査により明らかにした。 研究代表者は2010年4月より、研究支援を主要業務とする明治大学研究推進部という、「利益追求」に属する部門の職についており、日常の業務の中で組織の「安全確保」を担当する各管理部門と折衝を行っている。例えば、研究資金の使用方法については財務、規程の新設や改定については法務、研究施設の使用については管財、人材の雇用については人事部門等である。 本研究の遂行にあたって、研究代表者の組織における立ち位置は非常に恵まれており、日常の業務そのものがフィールドワーク、及びデータ収集となった。また同僚との業務に関する意見交換は、非常に精度の高い自由形式のインタビュー調査となった。そこでは、各職員の率直な意見を情報として収集し,半構造化インタビュー(事前に質問を設定し、回答やその後の発言は流れに任せるインタビュー手法)により、(1)各部門に対して要求する点、(2)各部門として守っていくべき点、(3)各部門間での具体的な利害対立の様相、についての情報を収集した。こうしたフィールドワーク、及びインタビュー調査により、公的機関における「利益追求」と「安全確保」の問題がどのように解決されているかを明らかにした。
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