定時制高校におけるひきこもり生徒の行動や情緒の理解を促進するための質的な研究
Project/Area Number |
23907006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育学・教育社会学
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Research Institution | 三重県立松阪工業高等学校 |
Principal Investigator |
太田 静男 三重県立松阪工業高等学校, 定時制, 教諭
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2011: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 定時制高校 / ひきこもり / 心理療法 |
Research Abstract |
本研究は、夜間定時制高校に在籍するひきこもり生徒や不登校などの実態があるひきこもりとなる可能性のある生徒に対する理解を促進する目的をもって行なわれた。 本研究者は、対象と考えられるある生徒と学校現場において心理療法による援助を実施した。ひきこもりを予防し、卒業に至った生徒の足取りは「転移性治癒」と言えるものであったかもしれない。本研究者には現実の接点がある教師という側面があったので、退行が進み転移が深まり収拾がつかなくなるということはなかった。また、生徒の中で本研究者が教師と面接者と分裂が起きていたと考えられたが、教師と面接者という2重関係が一定のブレーキとなり、陰性転移が深まることなく、反面アクティング・アウトが悪化することにも繋がらなかった。分離不安の課題を持ったこの生徒が、面接のキャンセルという形で行動化したのをきっかけに担任教諭や本研究者の介入があり、卒業というあらかじめ設定された分離や喪失を前にして、転移や逆転移、コンテインとコンテインドのプロセスが夢などを通して表れた。卒業したこの生徒は、自動車学校に通い免許も取得しアルバイトもできるようになったことは、定時制高校をやり遂げたこととともに心理面接の成果とも言えるかもしれない。 また、不登校を繰り返す生徒とその母親との並行面接を実施した。学校内外で対人関係から回避し撤退することを繰り返すこの生徒は、面接でも同様な回避・撤退を示した。並行面接を通して、このような行動の背景には家族の力動が影響していると考えられたが、退学という形の撤退によって支援の手立てが絶たれた。 本研究者はひきこもりや不登校などの不適応を治すというよりも、生徒や面接室で何が起きているかを内省し洞察できるような場として面接をすすめた。また、学校外での専門的なスーパービジョンや事例検討会等を活用して精神分析的な理解を深めた。
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Report
(1 results)
Research Products
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