Research Abstract |
○研究の目的本研究は,新学習指導要領にも示された「習得・活用・探究活動の充実」と「他者との共存」に着目し,『地域の高齢の方との交流会』への取り組みを通し,生徒に『食』に関する基礎的・基本的な知識の習得と,それを活用する場を設け,生涯を見通して自ら探求していく力を充実させる学習活動はいかにあるべきかを検証したものである。 ○研究の方法とその成果 1.小中一貫カリキュラムの中への位置づけの明確化小学校と連携し超高齢化社会に対応する力を身につけさせる系統的な流れを開発した。小学校で,年下のペアの子どもたちとの会食を実践しており,そこで身につけた,知識や実践力を中学校でも振り返り,交流会へ生かしながら取り組んだ。 2.中学校三年間を通じて、他者とのかかわりをテーマにした連続性のある学習内容の開発1年で『地域の高齢の方との交流会』2年で『幼児とのふれあい体験』3年で『乳幼児とその保護者との交流』を他者とのかかわりとして位置づけた。交流会の取り組みを,(1)どんな会にするかその問いを発案(2)問いの解決方法を考案(3)解決方法をもとに計画を立案(4)試し作りなど本番を想定した取り組み(5)改善(6)交流会本番(7)振り返り(8)次年度への課題という(1)~(8)の流れで取り組んだ。ここで学び方を学ばせ,来年度以降への活動にも生かしていくようにした。 3.習得・活用・探究活動の充実 ○栄養について学んだことを中学生向きの献立作り,家族のための献立作成,そして高齢の方のための献立作成へと発展させて取り組むことができた。 ○道徳,総合的な学習の時間,そして国語科とも連携して,総合単元として取り組み,高齢の方とのコミュニケーション活動に力を入れることができた。 ○地域の民生委員の方と交流会の内容の充実に向けて連携を深めることができた。来年度以降事前に交流会へ参加されるお客様へのオリエンテーションを実施していく方向での話がなされた。 ○学校での学習内容と家庭での実践を結ぶ取り組みを充実させた.交流会に関する通信を発行して啓発活動を行った。 4.客観的評価生徒への調査より,交流会への取り組みは楽しく充実していたかという問いに対して,全員が肯定的にとらえていた。また事後のふりかえりの記述より,お客様のために料理を作ったり準備をして,相手に喜んでもらえたことが,自分自身の喜びにもなると感じることができた生徒が多かった。そして,お客様が交流会の中で人生の先輩として生活にかかわることや,生き方にかかわる話を生徒にして下さったことが大変心に残っていた。これらのことからも,家庭科で学んだ基礎的・基本的な知識の習得と,それを活用する場を設けたことで,他者とのつながりの中で,今の自分を振り返ったり,今後のことを考えたりするきっかけとなっていることが明らかになった。
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