1研究目的 本研究では、勤務校である総合学科高校の福祉科目の授業において、「環境倫理」の観点を導入し、環境リテラシーの育成を目指した環境学習プログラムの開発、試行および評価を行い、自然との共生を実感させる環境学習のあり方を解明することを目的とした。 2研究方法 高校生と高齢者との交流を踏まえ、「環境倫理」の視点を取り入れた身近な自然との一体感を感じる環境学習プログラムを開発した。本プログラムは、ディープ・エコロジー思想を導入したワークをアレンジした「身近な植物との一体化体験」を中心とした野外体験学習をネイチャーゲーム「カモフラージュ」、「フィールドビンゴ」と組み合わせて構成し、勤務校の「福祉と人間を学ぶ系列」の生徒2・3年生計26名を対象に、校庭の草地において平成23年11月に実施した。 3研究成果 プログラム実施後の質問紙調査の結果、参加した96%の生徒が草地の植物との一体感を感じ、一体感を感じた、生徒の96%が心が豊かに成長した実感を持ち、参加した96%の生徒が校庭の草地の動植物間のつながりを感じ、すべての生徒が校庭の動植物にも生を全うする権利があると感じ、80%の生徒が、将来、高齢者との交流に本プログラムのような活動を生かせると感じていることが明らかになった。短時間のプログラムであり、実施高校の種々の条件に規定された事例的実践ではあるが、ディープ・エコロジー思想をもとにした「環境倫理」の観点を導入した環境学習プログラムを実施することにより、生徒に身近な自然において他の生命体との一体感、および、心の成長を実感させることができ、環境リテラシーの育成を一定程度達成することができた。
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