Research Abstract |
公立中学校で検定教科書を使用し英語を学習している中学1年生を対象に多読指導が語彙、読解、聞き取り、文法、学習動機に及ぼす効果の研究を行った。 語彙が増え始めた11月から3月までの期間、授業の中で多読指導を行い、語彙、読解、聞き取り、文法の事前、事後テストと共にアンケートを実施した。特に語彙テストは、検定教科書では使われず、多読の題材にのみ出てくる語彙をテスト項目とした。結果として語彙、読解、聞き取り、文法の全てのテストにおいて有意差が認められた。特に読解と文法においては、多読回数の多かったグループと少なかったグループとでは点数の伸びに差が見られた。 学習動機に関しては、「英語を読むこと」に関するアンケートを実施した。多読を終えての学習動機について見ると外的な動機が主たる動機となっていた。今回の研究で多読に取り組んだ生徒たちの中には、小学校の英語の授業で英語の読み聞かせを経験したことのある生徒たちもいた。その経験の有無によって今回の多読の読書量に差が出るということは見られなかったが、読書記録の中に、小学校で読んでもらった絵本を今回自分で読み、その時より理解ができるようになった旨の記述が見られた。 多読指導では、題材として主にGraded ReadersやLeveled Readersを使用した。それぞれの本には総語数や読みやすさレベル(古川昭夫、神田みなみ編著『英語多読完全ブックガイド』コスモピア,2010.を参照)を表示し、本を選ぶときの参考になるようにした。 英語学習のひとつの手段として多読を取り入れることは、外国語として英語を学ぶ我が国の中学生にとって、聞き取りとは違った形で英語のインプットを多く与えると共に、英語に触れる機会を多く与える方法であり、英語学習の有効な手段であることがわかった。
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