Research Abstract |
教育実習は,実習生にとって,今まで大学で学んできた理論を実際の学校現場で児童と向き合い,授業実践できる唯一の場である。このことから,教員養成カリキュラムの中で重要な位置を占めていると捉えられる。教育実習生が授業を構想し,実際に教壇に立ち,授業を行うまでには,現職の教員から指導を受ける。授業の観察や児童理解についての教授のほか,実習生の実践授業の前後には,教材解釈や単元の目標設定,学習指導案の検討,教授方法,教師の支援や発問,児童の反応や思考の解釈や判断など,教師としての力量の向上を目指した指導が行われる。 本研究では,教育実習生を対象に,実習期間中の児童理解の度合いと理科・生活科の授業構想や実践授業の自信度の2観点について描かれた運勢ラインをもとに,児童観と授業観について,変容の時期,変容のきっかけとなったエピソード,変容の様相を分析的に評価を行った。さらに,理科・生活科の授業構想時および実践後の児童観・授業観の相関関係を明らかにした。 研究方法としては,教育実習生を対象にした調査・分析によるものであった。調査時期,調査内容は,申請者が計画し,実施した。申請期間における研究は,3つのフェーズにより構成された。第1フェーズ(4月~8月)では,教育実習に関連する先行研究の検討,文献調査を通して,調査内容の基本的方針を策定した。第2フェーズ(9月~10月)では,教育実習期間に実習生を対象に調査(質問紙調査,エピソード記述,運勢ライン,インタビュー)を実施した。第3フェーズ(11月~2月)では,調査結果を基に分析,考察を行い,児童観・授業観の変容および相関を明らかにした。 なお,本研究の成果は,日本理科教育学会近畿支部大会(平成23年11月滋賀大学)において口頭で発表した。また,神戸大学大学院人間発達環境学研究科紀要において論文を投稿し受理された。
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