Research Abstract |
1研究の目的 児童が設定する仮説が,生徒の結論の導出や,結論の記述にどのような効果を及ぼすのかを解明し,生徒が仮説に対応した妥当な結論を導出させたり,結論の記述を確実に科学的な説明にしたりするための指導方略を開発する。 2研究の方法 これまで中学校理科で実施していた仮説設定をともなう探究的な学習から得られた知見を,小学校5年理科や,科学クラブにおける研究に応用し,児童が設定する仮説が,生徒の結論の導出や,結論の記述にどのような効果を及ぼすのかを児童の発言や,ノートの記述を分析して解明する。 3平成23年度の研究で明らかになったこと。 (1)小学校理科の教科書には,仮説設定を促すような因果関係の問いはほとんど無いが,児童が観察した実験結果が生起した原因やしくみを問う問いを教師が意図的に設定することによって,児童の仮説設定を可能にする。 (2)小学校理科における児童の仮説設定は,実験結果の考察やまとめに児童が記述する内容を科学的に妥当な結論にするのに有効である。 (3)植物の種子の発芽や成長の条件を探るときは,変化させていない条件と変化させた条件を明確に区別させ,発芽や生長に必要な条件を仮説として設定して記述させておくことが,妥当な結論の導出に有効である。 (4)5年「もののとけ方」において,溶媒である水や食塩,ホウ酸などの溶質の分子を,目に見えない小さな粒として,温度や水の量の変化によって溶け方が変化するしくみを仮説として児童に説明をさせる学習支援が,科学的に妥当な結論の導出に有効である。
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