Research Abstract |
(1)体(幼虫,蛹,成虫)の成長と細胞(生殖細胞)の分裂・変化について 本校の2年生(160名)全員に飼育を行わせた。幼虫期,蛹期,成虫期での形態や体長や体重の変化を,4名1班で8頭ずつ「ぐんま200」の飼育を約1ヶ月半程度の継続的な飼育観察を伴いながら行った。飼育しているカイコの身長・体重の平均値をはかったところ,脱皮後から身長は伸びるが,体重は次の脱皮直前にやや減少することが分かった。この観察では,配布するカイコを脱皮の日にちを合わせることにより容易にそろえることができることがわかった。また,4齢幼虫,5齢幼虫のそれぞれで,解剖を行わせ,生殖巣の発達,絹糸腺の発達,頭部の発達など観察させ,生殖巣での細胞分裂を観察させた。 (2)形態形成に対する,幼若ホルモンの影響について 「ぐんま200」の5齢幼虫(蛹化2日前)背側に,原液と水で10倍希釈したメトプレンを,塗布した。 塗布後役1週間で次のような結果が得られた。a体節の一部(体節は異なっても同じ部分)の皮膚が蛹化し,縞模様となった幼虫が観察された。bからだ全体が透き通って見える幼虫が観察された。c触覚が発達した幼虫が観察された。d小さな羽が外部に発生した幼虫が観察された。e胸脚が発達した幼虫が観察された。bの幼虫を人為的に脱皮させたところ,多くの場合aのような幼虫が観察されたが一部外見上幼虫のままの場合もあった。また,この際に体液が漏出しbが透明に見えたのは,脱皮すべき表皮と準備された新たな表皮の間に体液が満ちていたことによると考えた。体液が黄色の「ぐんま黄金」にメトプレンを塗布して作出したaの色が黄色であったことからも,脱皮すべき表皮と準備された新たな表皮の間に体液が満ちていたことが原因とわかった。さらに,触覚,羽。胸脚の発達など,全体的には蛹の前部の蛹化がより速やかに進行しているように見える。これらのことより,場所によって作用にメトプレンの濃度依存性がある。場所によってメトプレンが作用する時期が異なる。などの可能性を考えている。
|