Research Abstract |
研究目的 本研究は,エコラン用車両の開発に取り組む先端的技術教育実践を支援するために,競技車両開癸に関する知識や開発ノウハウを効果的に学習・共有できるディジタル教材を開発し,その効果を検証することを目的とした。 研究方法 教材の仕様を決定するために,エコランに取り組む中学校4校及び工業高校1校,大学1校で指導者・生徒から聞き取り調査を行った。調査の結果から,教材の仕様を1)競技車全体を俯瞰できる,2)エネルギーの効率・損失の概念を扱う,3)自転車を用い,その機構・構造を競技車と対比させ体系化する,4)機構や構造の理解を促すために動画やアニメーションを用いる,の4点とし,日本産業技術教育学会全国大会にて論文発表を行った。 教材を中学生に使用させ,13項目の5件法による主観的評価を行ったところ概ね肯定的な評価を得た。併せて,使用の前後に製作のポイントについて自由記述式調査を行ったところ,生徒の着目点がそれまで競技車の一部分だったものから,より広い範囲に及ぶようになることが確認できた。この結果を日本教育工学会全国大会にて論文発表を行った。 研究成果 中学生による教材の評価を基に,教材の改良を行った。また調査サンプルを増やし,より精緻に評価を行ったところ,本教材の学習効果が,1)初学者に対して,マシンの幕本的な構造の理解を助ける,2)初学者,経験者ともに各部の構造のより詳しい理解を助ける,3)経験者は初学者よりも各部の構造をさらに深く理解することができる,の3点であることと,さらに燃費向上の具体的な方法の記述が必要であるという点が課題であることとが明らかになった。以上の結果をICTE2011-JAPANにてポスター発表を行った。 今後は開発した教材を改良することに加え,本研究で扱った先端的技術教育実践から得られた知見を必修授業に転用することを検討していく予定である。
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