Research Abstract |
1研究目的 最近の「理科離れ」に関する調査報告により、理科への関心の低下は小学生から始まっていることが明らかとなってきた。このことが、日本の「ものづくり」にかかわる生産現場に携わっている技術者の「技術力不足」などの遠因となりつつある。そこで本研究では、小学生からの低年齢層も対象に、最新の工作機械を使い加工する「体験型ものづくり教室」のプログラムを構築する。この教室に参加することで最新技術に触れる機会をあたえ「ものづくり」の楽しさや興味をもってもらう機会を提供することを目的とする。 生産技術の分野では、モノを加工する工作機械がCNC(Computer Numerical Control)化されたことにより、自動化、高速・高精度化と技術が進歩し、今日では5軸同時制御による3次元加工もできるようになった。しかし、科学技術イベントなどで行われる「ものづくり」をテーマとしたワークショップでは、紙・はさみ・テープなど簡単な文房具を使った工作教室が行われることがほとんどで、実際の工作機械を使うことはない。その要因は、第一に安全性の問題である。やはり「ものづくり」に関わったことのない参加者は、不用意に工作機械を扱うとケガをする危険性が非常に高い。そのため、多くの人は日本の最先端技術を体験することも見ることもできないのが現状である。最先端のものづくり技術を体験し、その成果を見える形で手にすることは、児童・生徒に新鮮な感動と記憶を与えることになる。 2研究方法 体験学習用「3軸同時制御CNC工作機械」を以下のような仕様で製作し、「体験型ものづくり教室」を開催する。 (1)「体験型ものづくり教室」に参加する人の安全を考慮し、被削材は非金属材料とする。 (2)今回製作するCNC工作機械の最小移動量を0.001mmとする。 (3)機械本体は小型卓上タイプで幅・奥行き・高さとも500mm以内とし、X・Y・Z軸の最大移動距離は100mm以内とする。 (4)主軸及びすべての駆動部は安全カバーで覆い、加工中に手を触れることがないようにインターロックを設ける。 3研究成果 平成24年1月6日(金)に大型商業施設モレラ岐阜(岐阜県本巣市)内にある岐阜高専のサテライトキャンパスにおいて「CNC工作機械の体験教室」を開催した。「オリジナルはんこを作ろう」と題して、今回製作したCNC工作機械を利用し,参加者自らが描いた図案をスキャナで取り込み「はんこ」を製作する教室を行った。 当日は,4歳から50歳以上まで幅広い年齢層の方が多数参加し,「自分専用のはんこができてうれしかった」,「次回も友達を誘って参加したい」等といった感想が聞かれた。
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