Research Abstract |
二輪車は若年齢から運転免許を取得できることや,四輪車に比べ機動性が高く低価格で購入できる事から,手軽に扱える交通手段として利用されている。一方,二輪車は不安定な乗り物であり,転例等が発生しやすい上に衝突の際に運転者が直接衝撃を受けることになるため,運転にはより高い技術や安全に対する意識を求められる。 しかし手軽に扱える交通手段であるがために,逆に運転者は安全意識を軽視する傾向にあり,本来は本人の意識や技術で十分に防げる事故が多くあると考えられる。 そこで本研究では,二輪車運転時に膝や足等にどの程度力を入れているか,圧力センサーを使って数値化しながら動画撮影を行い,自分が普段どのような運転を行っているかが見た目で分かる「二輪車運転走行技術可視化装置」の製作を行い,計測実験を実施した。 製作した装置は容易に持ち運べる小型サイズで,測定中に転倒等の事故が発生した場合も破損等が発生しにくい形状とした。また多くの二輪車の形状に対応できるよう,取付方法を数種類の中から選択できるようにした。 計測実験は,二輪車安全運転講習会に参加した学生や社会人,二輪車安全運転指導員等を対象として,バランス走行・急制動・コーナリングの3種類を走行して行った。 計測結果として,一定の技術を有する運転者はあらゆる動作の際に,ステップや膝,ハンドル等の二輪車の各所に必要な力を加えバランスを取っているのに対し,乗車経験の浅い初心者は車体に特に大きな負荷をかけず座っているだけである等の力のかけ方の違いが判明した。 その結果を体験者に伝え,再度走行を行うと,測定前より技能が向上する事が多く,ほぼすべての体験者に技能と意識の向上がみられた。本装置を今後も継続して二輪車安全運転講習会等に持ち込み,二輪車を使用する人に自らの運転技術を確認してもらい,二輪車運転中の安全意識を向上させ,交通事故を未然に防止する安全運転活動の一助とする。
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