聴覚障害児の発話分析と、発音を発話場面に生かすための教材開発に関する研究
Project/Area Number |
23911004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
特別支援教育
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
板橋 安人 筑波大学, 附属聴覚特別支援学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2011: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 聴覚障害児 / 発話 / 発音・発語学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、聴覚障害児の発話の分析を行い、発音技能の向上を図る指導法の提案と、そのための教材を試作することにある。はじめに口話的アプローチを採用する聾学校小学部児童73名(筆者の担当児童)の発音評価と発話観察を行った。その結果、多くが発話明瞭度が40%程度であること、その発話には先行研究で指摘されている発音面(有声摩擦音を含む音節が苦手、音声が平板など)と言語面(発話に使用する語彙と統語構造における難点など)における聴覚障害児独自の特徴が担当児童にも認められた。その一方、難発音の得意音への誤発化傾向(例、サ行音のタ行音化)、人工内耳装用児ではサ行音の正しさと超分節面の整いが観察されたなどが明らかになった(板橋,2012)。次に、同一教材(サ行音を含む一連の文章の暗唱教材)による個別指導の授業場面をVTR録画したケース(3名)の発話分析を行った。ここからは、人工内耳装用児と補聴器装用児の発話にみる発音面と言語面のちがいの一端が浮き彫りになった。以上のことから、補聴器または人工内耳を装用し、教科指導では話しことばを主たるコミュニケーション手段としている聴覚障害児の場合、聴覚入力の量と質の「積算」が発音技能だけでなく言語力の発達のための大きな変数になることが考えられた。聴覚障害児のための発音・発語学習には、しゃべりながら日本語力の向上を図る扱いが欠かせないこと、そのために用いる教材は対象児の発達段階に見合った内容を持ち、その中に日本語の自然なリズム・イントネーションが含まれていることが要件であることを指摘した。その扱いにおいては、聴覚活用と読話と口声模倣に基盤をおくこと、発音を発話に生かすためには使用する教材の文字に頼らないダイナミックな発話練習の場面を多くとり入れること、また、その学習場面の雰囲気(話すことに潤い感を持たせる)作りも指導上の重要な観点となることも指摘した。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)