Research Abstract |
1.研究の目的 本研究は平成21年度から取り組みを始め,具体的な模型,数学が活用されている身近な題材を用いて,児童・生徒の空間を把握する解析力・思考力の育成を図る教材の開発と,授業実践による教材と指導方法の検証を目的としている。 2.研究の内容と成果 (1)多面体のビーズ球模型制作を取り入れた指導計画を作成し,平成21年度12月~1月に授業(14時間)を行ったところ,ビーズ球模型は立体の構造や形の特徴を理解していく上で有効であり,かつ発展性のある教材であるという成果が得られた。また,正20面体と準正32面体間の変化の様子を提示するコンピュータシミュレーションは,立体図形の生成を理解する上で効果的であった。これらのことを,平成22年度の全国算数・数学教育研究(新潟)大会にて発表したところ,ビーズ球の立体模型制作の授業への教材化について,ビーズ球模型を系統的に学習内容と対応付けて提示できると,初めての実践者も取り組み易い等の助言を頂いた。そこで,(1)ビーズ模型の数理,(2)制作に必要な材料と作り方,(3)授業実践から得られた成果の3項目をまとめた冊子を作成した。この冊子は今後研究会等で配布を行い,下記のURLにも掲載し活用されることを期待している。 (2)身近な数学の活用として,地図の射影のうち正射影を用いた授業を,平成23年2月に中学3年生を対象に行った。実践後の生徒の感想から,3次元のグラフを実際に手でかくために,グラフ用紙として透明半球を利用するという改善策を得ることができた。実践結果は平成23年5月竹早中学校紀要第49号に掲載し,第93回全国算数・数学教育研究(神奈川)大会にて発表を行った。コンピュータを活用した正射影のグラフ描画実践も発表したが,生徒が実際に手で透明半球を使って正射影の図をかく方法に会場の関心が集まった。本年度,指導計画の見直しを行い,平成24年2月に中学3年で授業実践を行った。その結果,透明半球の活用は,生徒が3次元の概念と直交座標を理解する上で有効であったといえる。授業結果を検討して今後発表していく予定である。 研究内容と授業実践の詳細は,下記URLに掲載している。 http://www.u-gakugei.ac.jp/~onodakk/math/index.htm
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