Research Abstract |
1研究目的 本研究は,平成22年度全国学力調査数学Aで最低の正答率であった問題1「長さ16cmのひもを使って,いろいろな形の長方形をつくる。長方形の縦の長さを変えると,横の長さがどのように変わるかを調べる。長方形の縦をXcm,横をycmとするとき,yをXの式で表せ。」に関する調査を基に,式化できるための指導上の改善を提言するものである。 2研究方法 調査問題は一次関数に加え,1年の文字式,比例,2年の等式変形など既習事項との関連が分析できるように作成した。結果分析では,解答類型を基に2項間の関連の強さを調べるため,2×2クロス集計表からカイ2乗検定を行った。なお調査対象は本校1・2年各120名とし,平成24年3月に実施した。 3研究成果 (1)問題1,表中を空欄で与えた問題2,表中のxの値のみ記入した問題3をこの順で調査した結果,正答率はそれぞれ86%,92%,97%であった。この傾向は1年でも見られた。また「表は大切だと思う」2年は全体の78%であったが,問題1の正誤と「表は大切だと思う」との関連はなかった。表の利用が正答率が上げる要因であったことから,表を利用して,具体的に調べる活動を重視する必要がある。 (2)問題1を誤答した2年16名全員が「表は大切だと思う」と回答したことから,具体的な事象において,表を利用する場合と表を利用しない場合とを比較したり,最初から表を利用しなさいという指導ではなく,表を利用すればよいということに気付かせる指導が望まれる。 (3)2項間の強い関連を示したのは,問題1の正誤と「長さ16cmのひもで縦がxcmのとき,横の長さをxcmを用いて表す問題」の正誤及び「等式変形2問題」の正誤であった。このことから,単に答えを求めて終わりではなく,結果から振り返って考えるなど関連指導がこの問題1の解決に必要である。
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