研究の目的 本研究は有機農業支援用稲作除草小型ロボットの開発に関する研究である。日本農業の基幹作物であるお米の栽培農家では、今後、従来以上の生産の効率化や、低コスト化が求められている。一方、食品に対して消費者の安全・安心に対する関心が非常に高まっている。稲作農家では農薬の使用を減らすことや、全く使わない農法が求められている。現に少数ではあるが農薬を減らす農法に取り組まれている農家の方々もいる。稲作の農薬を減らすことや、減農薬で取り組む農法の最大の課題はいかに雑草の繁茂を防ぐことができるかである。方法はいくつかあるが手間がかかり失敗すると収穫をあきらめざるを得ないほどの、まさに農夫にとっては命がけの栽培となる。このような状況から有機農業稲作農家の方々を支援する小型除草ロボットを開発し、環境にやさしく、安全で安心のお米の栽培を支援していきたいと考えている。 製作したロボットの概要 ロボットの開発は10年ほど前から取り組み、今回のロボットの製作は8号機にあたり、モーターやギヤーケースなどの変更が大きな改良点である。新規にIPMモーター(250W)を組み込み、車軸によりギヤーケースに駆動力が伝達され、木製の角型ホイールにアルミ製のブレードが、対角線上に具備された車輪を回転する構成である。車輪は4組製作され、前後左右に配置し、車輪の向きは対角線上に垂直になるように配置され、推進力は対角線と平行に発生する機構である。それぞれの車輪の回転方向(推進力の方向)を組み合わせることにより、前後左右の移動が可能である。除草ロボットの概要は外形寸法縦860mm横860mm高さ785mmであり四角睡形状に構成されている。全備重量35kg、バッテリーの容量が3800mAであり、運転可能時間は負荷にもよるが30分程度である。 走行実験 走行実験はモータードライバーの製作が遅れていたので、仮ドライバーで確認した。実験室内や大学構内の空き地にて、前進、左右旋回走行が確認できた。今後はモータードライバーを完成させて、後進や左右移動の確認をし、水田内の走行を確認する予定である。
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