Research Abstract |
携帯電話やディジタルテレビ放送等の無線通信の中核をなす電磁波の挙動,電波の伝わり方等の理解はきわめて障壁が高い.その原因は電磁波が目に見えないという点はもちろんのことであるが電波の使用が関係法令で規定されており,容易に学生,生徒を対象とした実験・実習を行うことができないことがある.そこで以下のような検討を行った.(1)携帯電話の発射電波を捉える電磁波センサの再検討し,周波数帯の変更,基地局間距離,音声信号処理等で送信電力が最小化されている最近のシステムに対して.RFパワーセンサICチップを用いて製作し,電池は必要ながら液晶パネルの裏面に置くことにより発射電磁波を検出できるようにした.電磁波に反応するLEDにより,信号が時間圧縮されて送信される様子を可視化している.(2)電磁波を視覚化するためにPC接続のスペクトラムアナライザの半製品を導入して,放送波や携帯基地局のスペクトラムを観察できるようにした.(3)平行2線線路に30-300MHzの信号を進行させ,線路内の電磁波の強弱をセンサで測定しグラフ化するシステムを製作した.これにより電磁波の波長を示すことができた.(4)衛星放送の周波数帯(マイクロ波)について,人感センサのドップラモジュールの電磁波を導波管内で伝送させ観測スリットで強度測定を行う機構を構築した.(3)と同様によく理論とあった実験結果を容易に得ることができるようになった.(5)以上ではやや理論寄りの内容では生徒・学生の興味や関心が持続しない.電波利用の一つとして気象衛星の受信システムを構築して上空を通過する衛星からの信号を捉え観測画像をPCを用いて構成するシステムを製作した.これによれば,受信信号に従い徐々に日本上空の画像が構成されていくのは視覚的にも効果がある.VHF帯のシステムではアンテナがやや大きくなるものの,受信機とノートPCで比較的コンパクトに構成できた.以上をまとめてシステムとして周波数帯を網羅することができた.
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