Research Abstract |
本研究では、平成20年岩手・宮城内陸地震に伴い発生した、大規模地滑りのすべり面である、シルト岩がシルトへと粉砕される過程の環境を解明することを目的として次の1~7のような方法で研究を進めた。 1.地滑りが起きた荒砥沢ダム周辺の地層構成を文献・既存資料を参考に整理した。 2.現地にて,シルト岩(不撹乱試料),および乱れたシルト(撹乱試料)を採取した。 3.シルト岩,およびシルトの物性試験を実施し,物理的特性を調べた。 4.シルト岩,およびシルトの組成分析を行い,比較検討した。 5.シルト岩に有機物が混入していなかったため放射性年代測定ができなかったことより、既存資料・文献から堆積年代を推定した。 6.スレーキング試験を実施し、シルト岩のスレーキングの特性を調べた。 7.シルト岩を模擬して、攪乱したシルトを突き固めたのち乾燥させて固結した供試体を作成し、一軸圧縮試験を行った。不撹乱試料の圧縮試験結果と比較して、異方性を考慮した力学的特性を考察した。 スレーキング試験の結果では、シルト岩のスレーキング指数はその程度が高い「4」を示し、シルト岩が乾燥・水浸に対して脆弱であることが確認された。一方、シルトから、シルト岩を模擬して作成した供試体の圧縮強さは、続成作用によって固結されたシルト岩の圧縮強さと比較すると、小さな値を示した。シルト岩は乾燥した状態での圧縮強さは大きいが、実地盤では水位によって、乾燥・水浸の影響がでることもある。今後は拘束圧がスレーキング特性にどのような影響があるかを調べる必要がある。
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