Research Abstract |
1.研究目的 多段バー地形は海浜地形の安定や沿岸域の防災に寄与しているが,地球温暖化に伴う海面上昇による地形変化や消失が危惧されており,その地形変動を把握し,地形変化予測を行うことが重要になる.海浜地形の計測は多くの方法が提案されてきたが,時空間で高密度の計測が可能で,かつコストの面で優れた手法としてビデオ画像を用いた方法が挙げられる.本研究では,ビデオ画像を用いて,潮間帯干潟に存在する多段バーの平面地形の観測手法を検討した. 2.観測方法 観測は御輿来海岸(熊本県宇土市)で実施し,隣接した丘にビデオカメラを設置して撮影を行った.これまでに7回のビデオ撮影を実施しており,撮影範囲は,画像変換に必要な基準点が数箇所入るようにしている.基準点の座標を基に平面直角座標系に射影変換し,二値化処理をすることで抽出したバーを比較する.また,自動制御の無人ヘリコプターによる3次元レーザ測量を実施し,射影変換画像と比較することで精度検証を行ったところ5m程度の精度で一致していることが確認できた.さらに,2011年12月には航空写真の撮影も行った. 3.画像解析結果 2010年6月~12月は,バーの位置や平面形状には大きな変化は確認できない.しかし,2010年12月~2011年4月にかけて澪筋が発達し,バーの形状に局所的な変化が見られた.観測期間中の波高を調べたところ,変化があった期間はより波高が高かったことがわかった.2011年12月の航空写真を確認すると,射影変換画像と同じように澪筋の発達が見られるが,全体的な多段バー自体は大きな消失等なく存在している. 4.まとめ 今回用いた画像変換方法で多段バーの平面地形の変化を把握することができた.また,多段バーは波等の外力の影響で局所的に変化すると考えられるが,平常時は安定して存在し続けることがわかった.今後の課題として画像変換精度の向上があげられる.
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