Research Abstract |
研究目的:近年,機能性を有する大豆加工食品が注目を集めている,これら大豆の味噌加工行程における加熱処理工程の違いによるイソフラボン含有量を調査し,味噌の高付加価値化への検討を行った. 研究方法:大豆「スズカリ」,米麹;白麹「雪こまち」塩「天日塩」を供試し,圧力蒸煮釜を用いて,A;20分煮熟,B;40分煮熟,C;20分蒸熟,D;40分蒸熟を行い6割麹味噌に仕込み,官能評価と明度およびイソフラボン含有量の調査をした.官能評価は,仕込み6ヶ月後に「色」,「香り」,「味」および「組成」の4項目を5段階(1=良い,3=普通,5=悪い)で評価し,明度は,ミノルタCR-200色彩色差計を用い,6ヶ月後,12ヶ月後に測定した.イソフラボン含有量は,仕込み直後と6ヶ月後の味噌についてHPLCで測定をした. 結果および考察: イソフラボン含有量・・・乾物味噌100g中のイソフラボン量の比較では,仕込み直後では,C;150.18mg>D;140.61mg>A;112.34mg>B;110.42mgとなり,仕込み6ヶ月後では,C;93.19mg>D;90.66mg>B;75.83mg>A・74.89mgとなり,仕込み直後6ヶ月後ともに蒸熟が煮熟より高い値となった. 官能評価・・・平均値で比較すると,A;2.92,B;3.00,D;3.08,C;3.42とAが,他の3種より高く評価され,Cは3.42と低く評価された.項目別では,色の評価は,Dが2.7と高く,香りの評価は,Aが2.7と高く,味の評価は,AとBが2.3と高く,組成では,BとDが2.3と高く評価された. 味噌の明度・・・明度Y値で比較すると,仕込み6ヶ月後は,A;23.6>B;22.26>C;18.9>D;15.5となり,仕込み12ヶ月後は,A;18.7>B;18.4>C;16>D;13.7となった. 以上の結果,蒸熟味噌は,煮熟味噌よりイソフラボンが高い値となり,また,処理時間が長いほど組成の評価は高いが,香りの評価が低くなった.明度は,蒸熟味噌が煮熟味噌より暗く,処理時間が長くなるほど暗い味噌となった.適切な処理時間を選定する事によりイソフラボン含有量が高い味噌醸造の可能性が示された.
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