Research Abstract |
米粉の製造は原料の米が硬く,水に浸す湿式が多い.ジェットミル・ピンミルなどで柔らかい米を粉砕して得られる.これらは製造工程で雑菌が増殖する,乾燥させるのにコストが高い,という欠点がある本研究の目的は,米を乾式にて液体窒素内で瞬間低温冷凍したのちに電極間にてコンデンサーに蓄えられた高電圧を水中にて一気に放電することによって発生する衝撃波を米に適用して粉砕(スポーリング破壊)し摩擦熱を加えず,雑菌の繁殖を抑える米粉の製造技術を開発することである. 研究方法は,まず水中衝撃波を利用した米を粉砕する高圧的処理装置を製作した.内部形状は3次元楕円型の空洞形状で,水で満たされており,内部に電極を有する.交流電源100[V]を3500[V]まで昇圧し充電・放電できるコッククロフト-ウォルトン回路にて電極間で放電させ,発生した水中衝撃波の圧縮波・膨張波を内部壁面で繰り返し反射にて増幅させてエネルギを一点に集中させた.その焦点に空気で乾式にて米を送るシリコンチューブが設けられている.米を連続粉砕した後,米粉を分級機にて選別し,粒度分布・走査型電子顕微鏡観察・損傷デンプン率・滅菌の評価をおこなった. 研究成果は,本装置では1回の放電あたり0.034kWh,米粉1kg製造に必要な電力量は1.976kWhであった.従来の方法と比較する大きなコストダウンとなる.滅菌は高圧的処理の米粉とジェットミルでの米粉を比較した結果,大腸菌や土壌菌はスポーリング破壊の作用を受けて破壊され,培養後にはコロニーが形成されなかった黄色ブドウ球菌もコロニー数が5%以下にまで減少した損傷デンプン率を測定したところ、ジェットミルによる米粉が9.2%であったが瞬間的高圧処理による米粉は4.9%と低くなった.走査型電子顕微鏡(SEM)写真から瞬間的高圧製粉による米粉は気流粉砕製米粉よりもデンプン粒子の形状が良好である結果が得られた.
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