βラクタム系抗菌薬の個別化投与の有用性に関する臨床研究
Project/Area Number |
23926003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅰ
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石原 慎之 島根大学, 医学部附属病院・薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | βラクタム系抗菌薬 / モンテカルロシミュレーション / 院内肺炎 |
Research Abstract |
○研究目的 近年、多剤耐性菌による院内感染が社会問題となっており、抗菌薬の科学的適正使用の推進が望まれている。一方、モンテカルロシミュレーションの手法を用いたPK-PD解析による投与設計立案が有用であると報告がある。本研究では、院内肺炎患者に対して汎用されているカルバペネム系抗菌薬であるメロペネム(MEPM)において、モンテカルロシミュレーションによるPK-PD解析に基づき投与設計立案の臨床適応による有効性・安全性の評価を行い、同様にペニシリン系抗菌薬であるタゾバクタム/ピペラシリン配合剤(TAZ/PIPC)において、投与設計立案の妥当性を評価するために血中薬物濃度をモニタリングした。 ○研究方法 ・調査対象:当院、呼吸器化学療法内科にて入院治療が行われた院内肺炎患者 ・MEPM投与設計立案方法:患者の腎機能を評価した上でモンテカルロシミュレーションを応用したPK-PD解析ソフトウエアを用いて投与設計を行い、%T>MICが40%以上となる投与方法を主治医へ推奨した。 ・TAZ/PIPCのクリニカルPK-PD解析:患者の腎機能により投与量を変えて投与し、TAZおよびPIPCの血中薬物濃度を経時的に測定した。 ・臨床評価:主治医が「成人院内肺炎診療ガイドライン」に準じて臨床評価を行った。安全性評価は「抗微生物薬安全性評価基準」を基に主治医が観察を行った。 ○研究成果 症例数はMEPM、TAZ/PIPCで12症例、22症例であった。MEPM投与により臨床症状(発熱、酸素飽和度)および臨床検査値(白血球数、CRP値)は全症例で改善が認められた。副作用は、1症例のみ投与後AST、ALTの上昇を認めたものの一過性であり、全症例において安全性であると評価された。TAZ/PIPC投与では、20症例(90.1%)で臨床症状および臨床検査値の改善が認められた。副作用は、5症例に腎機能障害や肝機能障害などの副作用が認められた。しかし、副作用発現と血中薬物濃度との関連は認められなかった。 よって、モンテカルロシミュレーションを応用した抗菌薬のPK-PD解析は、個別化治療を行うために有用であり、また、十分な臨床効果が期待でき、かつ、安全面にも配慮した投与設計が可能であることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)