Project/Area Number |
23927004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅱ
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Research Institution | 兵庫県警察本部 |
Principal Investigator |
西脇 芳典 兵庫県警察本部, 科学捜査研究所, 警察研究職員
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 乱用薬物 / 表面増強ラマン分光法 / 現場分析 |
Research Abstract |
本研究は銀ナノ粒子による表面増強ラマン分光(SERS)法により、各種乱用薬物を含有する違法錠剤から高感度に成分を特定する手法を開発することを目的とした。 SERS法を新しい乱用薬物現場分析法として用いるため、以下の検討を行った。 1銀ナノ粒子の合成法の最適化 高いラマン増強効果を示す銀ナノ粒子合成法を模索した結果、硝酸銀をクエン酸三ナトウウムで還元する方法が最適であった。最適化した銀ナノ粒子をTEMで観察したところ、その粒径は約50nmであった。 2乱用薬物をSERSで分析するための前処理法の検討 MDMA錠剤を用いて前処理法を検討した。これらの錠剤は様々な色をしており、前処理を行わないと蛍光が強く、ラマン分析が困難である。代表的な麻薬が塩基性薬物であることに着目し、アルカリ性化で液-液抽出を行った。約5mgの錠剤粉末を採取し、炭酸ナトリウムを加えてクロロホルムで抽出した。クロロホルム層をピペットで取り、そこに塩酸、銀ナノ粒子溶液を加えた。アルカリ性化ではクロロホルム層にあった薬物は、塩酸を加えることで水層に移り、銀ナノ粒子と作用してSERSを発現する。この方法を用いることで、10種類の錠剤からMDMAのピークを確認することができた。 3各種乱用薬物のSERS法による増強効果の確認 GC/MSによって定性・定量を行った錠剤試料について、上記の方法で増強効果の確認を行った。その結果、覚せい剤は約10万倍、MDMAは約1万倍、2CIは約5万倍、ヘロインは約1万倍、コカインは約1万倍であり、十分な増強効果を示した。 本法は、スペクトルによって薬物を同定することが可能になるので、従来法では検査困難であった薬物を現場で検査することが可能になる。従来法と本法を組み合わせて、実用的かつ正確な乱用薬物の現場分析システムとして確立できた。本研究の成果を実際の犯罪現場で生かしていきたい。
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