Project/Area Number |
23928006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅲ
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
金澤 直子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | バンコマイシン / hVISA / ポピュレーション解析 |
Research Abstract |
【背景・目的】MRSAのVCMに対する耐性化は、遺伝子変異を伴った転写調節系の異常によって細胞壁合成系の亢進によって起こることが報告されており、VCM高度耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)ではMRSAがvanA遺伝子を持つことで耐性化することが明らかになっている。一方、VCM低感受性黄色ブドウ球菌(hVISA、VISA)の出現については、感受性テスト(ポピュレーション解析)および遺伝子解析により、コアグラーゼII型および二成分制御系因子であるvraSR変異が関与している可能性が報告されているが、臨床分離hVISA、VISA株において未だ証明されてない。また、臨床において、通常、VCMのMRSAに対するMICの測定で使用されている微量液体希釈法は高感度感受性テストであるポピュレーション解析に比べ、hVISAの検出率が低く、正確性に欠ける。そこで、MRSA遺伝子のコアグラーゼ型の分類、vraSRの変異部位を検出し、その遺伝子変異部位と、ポピュレーション解析により算出されたVCMのMRSAに対するPAP-AUCの相関を調べ、hVISA、VISAになり得る遺伝子変異部位を同定した。 【方法】2005年1月~2009年12月までに当院で検出された血液培養陽性MRSA46株を対象とした。VCMのMICを微量液体希釈法、PAP-AUCをポピュレーション解析により算出し、PAP-AUCの基準を用いて≦0.9、0.9<PAP-AUC<1.3、1.3≦をそれぞれMRSA、hVISA、VISAとした。コアグラーゼ型別の分類にはmultiplex-PCR法を用いて分類した。hVISA、VISAのvraSRの変異部位の確認はSNP塩基を判別する特異的プライマーを用いてPCR法により増幅を行い、電気泳動により行った。 【結果・考察】コアグラーゼII型、III型、無型はそれぞれ84.8%(39/46)、10.9%(5/46)、4.3%(2/46)であった。今回、二成分制御系因子であるvraSR変異が関与している報告からある特定の変異部位について検討した結果、vraSRの変異を有する株は認められなかった。今後、さらに他のvraSRの遺伝子変異部位について検討を行う予定である。一方、微量液体希釈法によるMIC_<50>は1.0μg/mL、MIC_<90>は1.5μg/mLであった。また、hVISA、VISAに相当するMIC値は算出されなかった。ポピュレーション解析によるPAP-AUC値は0.29~0.92であり、VISAは検出されなかったものの、hVISAが10.9%(5/46)検出された。本研究より、ポピュレーション解析ではhVISAを高感度で検出できることが分かり、MRSA感染症治療薬を選択する際に、有用であることが示された。
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