アセチルコリンニコチンα7受容体をターゲットとした新規潰瘍性大腸炎治療薬の検討
Project/Area Number |
23929010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅳ
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田坂 祐一 愛媛大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / ニコチン / トロピセトロン |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎(UC)は活動期と緩解期を繰り返す難治性の病気であり、特定疾患に指定されている。また、現在の治療薬では根治は難しく、新規治療薬の開発が望まれている。一方、マクロファージに存在するアセチルコリンニコチンα7受容体(α7nAChR)の刺激を介した抗炎症作用機序(Nature,2003)が発見され、α7nAChR作動薬は新しいタイプのUC治療薬になると考えられるが、詳細な検討は行われていない。そこで本研究では、既に安全性が確認されている既存薬に着目し、新規UC治療薬の探索を行った。 文献調査より、抗悪性腫瘍薬使用時に用いる制吐剤であるトロピセトロンにα7nAChR刺激作用があることが報告されていた(Bioorg.Med.Chem.Lett.,2001)。そこで我々は、UCの代表的な実験動物モデルであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)腸炎モデルを用いてトロピセトロンの腸炎抑制効果を検討した。5週齢の雄性マウスに5%DSSを7日間自由飲水させることによりDSS腸炎が惹起され、下痢・血便のスコアの上昇、大腸の長さの短縮、ミエロペルオキシダーゼ活性の増加が起こった。我々は、同時にトロピセトロン0.5-2mg/kgを1日1回腹腔内投与することにより、これら全ての指標が抑制されることを見出した。また、H&E染色により組織学的に腸炎抑制効果を確認したところ、トロピセトロンの投与によりDSS腸炎で起こる腸粘膜の傷害は軽減されていた。これらのことから、トロピセトロンの新規UC治療薬としての可能性が示唆された。 臨床では様々なUC治療薬が使用されるが、ステロイド剤による糖尿病や骨粗鬆症、インフリキシマブのinfusion reactionなど副作用の観点からも様々な問題が残されている。このような背景からも本研究が安全性の高い新規UC治療薬開発の一助となることを期待している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)