Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
本研究では、高脂肪食負荷によるメタボリックシンドローム関連腎症モデルマウスを作成し、メガリンを介する腎近位尿細管上皮細胞(PTC)のエンドサイトーシス系の異常がオートファジー系にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。メガリンの作用機序を検討するため腎特異的メガリンノックアウトマウス(KOマウス)を用いた。実験によって得られたPTCの所見が加齢の影響によるものではない事を検討するため6ヶ月間、3ヶ月間の高脂肪食負荷モデルを作成した。また、オートファジー系への影響を検討するため、オートファゴソームのマーカーLC3とGFPの融合遺伝子(GFP-LC3)を全身細胞に発現するトランスジェニックマウスを用いた。6ヶ月間の高脂肪食負荷マウスにおいてPTCに糖質染色であるPASでは染色されない空胞様の変性所見を認めた。メガリンKOマウスでは空胞様変性所見が軽減することから、エンドサイトーシス系を介した機序が関与することが示唆された。また、空胞様変性がリソソームマーカーLAMP-1の抗体で染色されることからも、エンドサイトーシス系の異常が関係することが示唆された。高脂肪食負荷期間を3ヶ月に短縮したマウスにおいても6ヶ月モデル同様の空胞様変性所見を認めた。この事から加齢による細胞内の代謝機能の低下が空胞様変性の主たる原因ではない事が示唆された。3ヶ月および6ヶ月の高脂肪食負荷GFP-LC3マウスのPTC内LC3を蛍光顕微鏡下で観察したところ、空胞様変性とLC3の共在が観察された。この事から空胞様変性は、エンドサイトーシス系とオートファジー系の合流地点である、オートリソソームの異常であることが示唆された。また、空胞様の変性所見がオイルレッド0等の脂肪染色では染色されなかった事から、空胞様変性はPTCに脂質等が単純に蓄積したものではなく、メガリンを介するエンドサイトーシス系の異常に伴ってオートリソソームが停滞した状態を反映するものであることが示唆された。
All 2011
All Presentation (1 results)