Research Abstract |
<研究目的>歯科衛生士の専門性向上に直結した教育法開発の構想のもと,北米で開発された科学的・論理的な問題解決過程である「歯科衛生ケアプロセス」をわが国の歯科衛生士教育に導入し,その評価を行う.この結果をもとに北米型モデルの問題点を抽出し,我が国の実情にあった新たな教育モデルの構築を目指すことにある. <研究方法>1.模擬症例および模範回答の作成:ヒューマンニーズ概念モデルの8つのニーズのうち,4つのニーズ(4.頭頸部の皮膚,粘膜の安定6.不安やストレスからの解放7.口腔の健康に関する責任8.概念化と理解)に当てはまるよう作成.模範回答を基に(1)情報の抽出(2)分析・解釈(3)歯科衛生士が対応できる問題の明確化(4)原因・病因の推察(5)計画立案の各ステップに関する詳細な選択肢からそれぞれを点数化できるよう評価表を作成した.2.研究対象者への模擬症例の提示と回答:3年制教育課程を修了し,卒業を控えた学生62名を対象に模擬症例を提示した上で,必要となる情報を読み取り,問題点とその原因を解決するためのケア内容を記載するように指示した.3.回答内容の評価:点数化は評価表の選択肢全71項目に各1点を与えて行った後百分率を算出し,歯科衛生上の問題ごとに(1)から(5)の間で比較した. <結果と考察>回答内容の評価から,被験学生は情報を抽出し,分析・解釈する能力は概ね修得できていると考えられた.特に歯肉の炎症のように歯科衛生上頻繁に起こりうる問題の抽出は的確に行えていた.しかし,問題によっては得られた情報がその後の計画立案まで十分に生かされていないことも明らかとなった.今回の結果から歯科衛生診断を導き出すための問題の明確化と原因・病因の推察が十分に行われることで,計画立案へつながることが示唆された,今後,問題点を明確にし計画立案へ導くためのモデルとして,歯科衛生ヒューマンニーズ概念モデルの活用を強化していく必要性が伺えた。
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