Research Abstract |
【研究目的】 本研究では,体育科授業において,児童が行ったばかりの自身の動きを映像情報として即座に活用し,さらに,児童一人一人が自身の個人データを自主的に管理・活用することにより,体育的学力を伸長させることを検証したものである。 【研究方法】 本研究代表者はこれまで,体育科授業において,即時的に映像機器を利用できる複数場面を設定して,児童が自分自身を撮影したで映像資料を活用することで,学習者の運動技能の向上に効果があることの検証を行ってきた。本研究では,さらに多くの運動領域の範となる映像資料を整備して,運動多領域での授業における児童自身の活用場面を増やし,実践を積み重ねた。さらに,収録した映像資料を,学習集団につき1台のデータバンクの中に,個人別に管理・蓄積し,それを児童が自分自身の意思で利用できるようにライブラリー化して,自主的データ活用の実現を図った。 また,蓄積したデータを,個人別のUSBフラッシュメモリに管理し,家庭との連携に利用できるような環境を整備した。 【研究成果】 その結果,児童は,授業時間において,運動に挑戦しながら動作のポイントとなる部分の撮影を自主的に行い,機器を活用し,蓄積したデータバンクから必要な動画データを自由に選択・再生して視聴する学習方法を確立した。そこでは,児童自身が自分の動きの実現状況を資料に照らして確認したり,共同学習者との間で共通の話題をもって課題に再挑戦したりすることが容易になり,客観的な情報を介して焦点化された課題追究型の学習が成立することを検証できた。 個人情報保護に関するセキュリティをより強固にする指針が通達されたことにより,家庭とのデータのやりとりは実現に至っていないが,個別化したデータの保存に成功し,児童の卒業まで,次学年以降もデータを追加蓄積できるような環境整備に成功した。
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