海馬場所細胞の活動操作によるエピソード記憶神経基盤の解明
Project/Area Number |
23H00502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 61:Human informatics and related fields
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
高橋 晋 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (20510960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤山 文乃 北海道大学, 医学研究院, 教授 (20244022)
苅部 冬紀 北海道大学, 医学研究院, 助教 (60312279)
畦地 裕統 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (90615296)
井出 薫 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (90806671)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,540,000 (Direct Cost: ¥35,800,000、Indirect Cost: ¥10,740,000)
Fiscal Year 2024: ¥9,490,000 (Direct Cost: ¥7,300,000、Indirect Cost: ¥2,190,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
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Keywords | 場所細胞 / 海馬 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、動物が道に迷い静止した際に、海馬の場所細胞が移動中の約10倍速の早送りモードで再活性化される「リプレイ」現象に着目し、そのリプレイと、そこで表現されるエピソード記憶の因果関係を解明することを目指す。それは、独自の電気生理学的記録法で多数の神経細胞活動を同時に記録し、光遺伝学に基づく神経刺激法で細胞種選択的に脳内へ介入することで、エピソード記憶を想起するメカニズムを、従来不可能であった神経細胞レベルで実証することでもある。このように本研究では、認知神経科学、情報工学、電気生理学、光遺伝学を融合し、神経細胞活動が表現するエピソードの記憶を操作する独創的な技術を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動物が道に迷い静止した際に、海馬の場所細胞が移動中の約10倍速の早送りモードで再活性化される「リプレイ」現象に着目し、そのリプレイと、そこで表現されるエピソード記憶の因果関係を解明することを目指す。それは、独自の電気生理学的記録法で多数の神経細胞活動を同時に記録し、光遺伝学に基づく神経刺激法で細胞種選択的に脳内へ介入することで、エピソード記憶を想起するメカニズムを、従来不可能であった神経細胞レベルで実証することでもある。 本年度は、場所細胞が存在する海馬に投射するVTAドーパミン作動性ニューロンの軸索を光遺伝学的に興奮させ、ドーパミン放出とエピソード記憶との関連性を調べる実験系を確立した。その結果、ドーパミンが、いつ、どこで報酬が得られるかというエピソードの変更に深く関与することを発見した。この実験系では、ファイバーフォトメトリーによるドーパミン動態の計測と、ドーパミン放出の光遺伝学的操作を行うことができるため、来年度以降に実施する電気生理学的記録法との組み合わせにより、エピソード記憶想起メカニズムの実証に寄与する成果となる。また、この実験系で活用した再構成可能な迷路に関する操作方法を解説した論文報告や、新規な動物の姿勢を高精度に推定手法を開発することもできた。 このように当初計画に従って様々な基盤技術を整備することができ、来年度以降の研究計画の道筋ができた。今後は、ニューロン活動計測に関する基盤技術を確立し、最終的な目標となる、リプレイとそこで表現されるエピソード記憶の因果関係を解明する実証実験に繋げる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、場所細胞が存在する海馬に投射するVTAドーパミン作動性ニューロンの軸索を光遺伝学的に興奮させ、ドーパミン放出とエピソード記憶との関連性を調べる実験系を確立した。その結果、ドーパミン報酬が、いつ、どこで報酬が得られるかというエピソードの変更に深く関与することを発見するなど順調に進展している。また、独自開発の再構成可能な迷路に関する操作方法を解説した論文報告や、新規な動物の姿勢推定手法を開発することもでき、来年度以降の研究基盤を整備することができた。そのため、本研究計画は着実に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、リプレイが表現するエピソードを事前に予測するために、機械学習法を活用した手法を開発していく。また、特許出願した再構成可能な迷路を活用し、複合迷路課題をラット/マウスに訓練する。そして、課題遂行中の動物の海馬CA1野、CA3野、歯状回から、複数の神経細胞活動を長時間にわたり記録する。複数領野からの記録については、導入済みのNeuropixels probeと、独自設計の電極留置装置を組み合わせ実現する。 このようにニューロン活動計測に関する基盤技術を確立することで、最終的な目標となる、リプレイとそこで表現されるエピソード記憶の因果関係を解明する実証実験に繋げる。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)